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A350-1000ULR、22時間飛行支える追加燃料タンク シドニーからロンドン・NY

 エアバスは現地時間6月3日、カンタス航空(QFA/QF)の超長距離国際線計画「プロジェクト・サンライズ」向けに開発しているエアバスA350-1000ULR(Ultra Long Range)の技術概要を明らかにした。シドニーからロンドンまたはニューヨークまでの直行便を想定した機体で、距離は約1万海里(約1万8520キロ)、最大22時間の連続飛行に対応する。

カンタス航空のA350-1000ULR(エアバス提供)

—記事の概要—
追加燃料タンクで22時間飛行
ロンドン・NY直行で時間短縮
ホテルのような4クラス238席

追加燃料タンクで22時間飛行

 A350は、胴体長により標準型のA350-900と長胴型のA350-1000の旅客機2機種があり、A350-1000に超長距離飛行に対応する改修を施した派生型がA350-1000ULR。機体構造にRCT(後部センタータンク)を組み込み、燃料搭載量を2万リットル増やした。通常のA350-1000と比べて航続距離を1000海里(約1852キロ)延ばし、長時間飛行の終盤でも代替空港へ向かうための余裕を確保する。

A350-1000ULRのインフォグラフ(エアバス提供)

 エンジンはロールス・ロイス製「Trent XWB(トレントXWB)」のうち、A350-1000と同じTrent XWB-97を採用。最大離陸重量も引き上げ、客室は超長距離便向けに最適化したエアバスの最新客室仕様「Airspace(エアスペース)」を採用する。

 初飛行した初号機(MSN 707)は今後、約2カ月間の飛行試験に入る。試験では、主要な構造変更と燃料系統が、各飛行段階や高度で適切に機能するかを確認する。ポンプや計器、圧力系統に加え、各タンク間の燃料移送の順序や管理が、燃料量管理システム(FQMS)の計画通りに行われるかも検証する。

 胴体構造と一体化した追加タンク「RCT」は、A321XLRも採用。前身のA321LRは、一定の整備を行えば着脱できる「ACT(追加センタータンク)」だったが、A321XLRは胴体と一体化したRCTを採用したことで、さらなる航続距離の延長や貨物搭載量の増加につなげている。

 客室の換気と温度制御も試験対象となる。新しいギャレー(厨房設備)空調冷却システム(NGAC)は、長距離便向けに軽量で効率の高い冷凍ユニットを採用した。A350-1000ULRがこの新技術を最初に採用する機体となり、約300キロの軽量化につながる。NGACはA350ファミリーの標準仕様になる予定。

ロンドン・NY直行で時間短縮

 プロジェクト・サンライズは、カンタスが2017年に立ち上げた超長距離直行便計画。航空機メーカーに長距離機の航続距離拡大を求め、豪州東海岸とロンドン、ニューヨークをノンストップで結ぶことを目指している。

初飛行するA350-1000ULR初号機(エアバス提供)

 名称は、第二次世界大戦中の「ダブル・サンライズ」にちなむ。シンガポール陥落後、カンタスは西豪州からスリランカまでカタリナ飛行艇を運航し、ロンドン方面への接続を維持した。飛行時間は33時間に及び、乗客と乗員が日の出を2度見たことに由来する。

 プロジェクト・サンライズの直行便は、途中で1カ所乗り継ぐ経由便と比較して、移動時間を3時間以上短縮できるという。

ホテルのような4クラス238席

 2機目のA350-1000ULRは現在、カンタス塗装を施す作業が進んでいる。塗装後は客室の完成とエンジン装着へ進む予定で、カンタスへの初納入予定機となり、引き渡しは2027年4月を予定している。

カンタス航空のA350-1000ULR(エアバス提供)

カンタス航空のA350-1000の個室ファーストクラス(同社提供)

 カンタス仕様のA350-1000ULRは、ゆとりを持たせた4クラス238席。ファーストスイート6席、ビジネススイート52席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー140席で、ファーストスイートとビジネススイートは個室タイプを採用し、エコノミーのシートピッチは33インチとなる。また、長時間飛行中に乗客がストレッチできる「ウェルビーイング・ゾーン」もプレエコとエコノミーの間に設けるなど、ホテルのような快適性を目指す。

 カンタスはプロジェクト・サンライズ向けにA350-1000ULRを12機発注。このほか、長距離路線向けに通常のA350-1000も12機発注済み。A350-1000ULRは、A350ファミリーの旅客型としてはA350-900、A350-900ULR、A350-1000に続く4番目の派生型となる。

関連リンク
Project Sunrise [1]
カンタス航空 [2]

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