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元JAL 777が鶴丸で上海へ? 特集・JAL 777-200ER退役後のいま

 日本航空(JAL/JL、9201)が中距離国際線や国内線で運航し、2023年に全機退役したボーイング777-200ER型機のうち、元9号機(登録記号JA709J→N837KW)が5月18日、米カンザスシティから上海・浦東国際空港へ日本上空を通過して向かった。すでにJALが他社へ売却した機体だが、現地で撮影されたとみられる写真から、JAL塗装のまま上海へフライトしたことが確認されている。香港企業による機体登録が確認されたものの、すぐに除籍されており、フェリーから約1週間が過ぎた24日時点で大きな動きは確認できていない。

JALの777-200ER JA709J=22年9月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALはエンジンが3基ある「3発機」マクドネル・ダグラス(現ボーイング)MD-11型機の後継機として、777-200ERを2002年から11機導入。エンジンはGE製GE90-94Bで、東南アジアやハワイなど中距離国際線を中心に投入されていたが、2021年に国際線の運航から離脱し、最後まで残った3号機(JA703J)を含む5機を国内線に転用し、2023年11月12日の那覇発羽田行きJL916便を最後に全機退役した。

 退役から2年半が過ぎたいま、11機はどのような状態なのだろうか。中古機として“再就航”した機体、NASA(米国航空宇宙局)の研究機となった機体などさまざまだ。

—記事の概要—
クルーバンク有無で2種類
NASAがお買い上げ

クルーバンク有無で2種類

 JALの777-200ERの客室仕様は、乗務員の休憩スペース「クルーバンク」の有無で2種類あり、11機のうちJA701Jから703Jまでの3機はクルーバンクなしのW64、JA704Jから711Jまでの8機はクルーバンクありのW63だった。

羽田空港に到着したJALの777-200ER定期便最終便となった那覇発JL916便から姿を表す黄色いコンテナ=23年11月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 最後まで残った3号機は、2003年2月3日に引き渡された。2クラス312席仕様(クラスJ 26席、普通席286席)で、2023年11月12日の那覇発羽田行きJL916便で運航を終了。JALの777-200ERとして最後の運航となった。

 現在はジョージアのマイウェイ・エアラインズ(MYW/MJ)が「4L-MWB」として機体を登録しており、航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、直近ではパリ-ダカール線などで運航が確認されている。

 初号機(JA701J)は、国内では初めて退役機を米国までチャーター便として運航した機体。目的地のロサンゼルス到着前には、航空機の保管先として有名なビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港の上空をローパス(低空飛行)した。現在は「5A-GRS」として機体登録され、リビアのガダメス・エア・トランスポート(GMS/NJ)からフライ・オーヤ(Fly OYA、OYA/YI)へリースされている。直近では、ドバイ-トリポリ線などで運航を確認できた。

JAL最後の777-200ER JA703Jのコックピット=23年10月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの777-200ER初号機JA701J退役チャーターでローパスするビクタービル空港=23年5月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire


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NASAがお買い上げ

 JALの777-200ERで最初に退役した4号機(JA704J)は、最も異色の転身を遂げた。退役時の座席数は国際線仕様の3クラス236席(ビジネスクラス42席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー154席)だった。現在はNASAが「N577NA」として登録しており、退役したDC-8-72(N817NA)の後継となる「空飛ぶ実験室」へ改修作業が進められ、2027年1月から最初のミッションに投入される予定になっている。

L3ハリスが元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行実験室(同社提供)

羽田を出発するJALの777-200ER初の退役機JA704J=20年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、10号機(JA710J)も、ナイジェリアのエア・ピース(APK/P4)が「5N-CEG」として登録し、ロンドン(ガトウィック)-ラゴス線などに投入されている。残るJA702J、JA705J、JA706J、JA707J、JA708J、JA711Jの6機は運航を確認できていない。

 5月18日に上海へフェリーされた元JA709Jは、JAL時代の塗装のままで、エンジンカウルの一部がグレーという特徴も変わらずのようだった。上海へ到着後の用途は現時点で確認できていない。JALの777-200ERは全機退役して久しいが、世界各地で第二の役割を歩んでいる。

登録記号の変遷
JA701J→5A-GRS
JA702J→N840KW
JA703J→4L-MWB
JA704J→N577NA
JA705J→N775LG
JA706J→N776LG
JA707J→N777LA
JA708J→N778LG
JA709J→N837KW
JA710J→5N-CEG
JA711J→N771LG

関連リンク
日本航空 [1]

動画(YouTube Aviation Wireチャンネル [2]
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