国土交通省航空局(JCAB)は2月27日、航空機内でのモバイルバッテリーの発煙や発火のリスクを減らすため、機内持ち込み基準を見直す改正案を公表し、パブリックコメントの募集を始めた。機内に持ち込めるモバイルバッテリーを2個までに制限し、機内での充電を禁止する内容で、4月中旬ごろの開始を見込む。

25年1月に乗客のモバイルバッテリーが火元とみられる火災が起きたエアプサンの釜山発香港行きBX391便のA321 HL7763(BEA提供)
乗客の手荷物に関する告示の改正案では、機内に持ち込めるモバイルバッテリーを2個までとし、容量は160Wh以下に限るとした。その上で、リチウム金属電池でリチウム含有量2グラム以下や、リチウムイオン電池でワット時定格量100Wh以下の小型のものは、この個数に算入しない、としている。
機内では、モバイルバッテリー自体を充電しないことに加え、モバイルバッテリーから他の電子機器へ給電する行為も禁止する方針。予備のリチウム電池やパワーバンクはショート(短絡)しないよう個々に保護されていることや、持ち込み個数に上限を設ける規定を追加する。
一方、航空会社側が機内で使用する電子機器に内蔵されたリチウム電池や、モバイルバッテリーの扱いも見直す。運用通達の改正案では、こうした機器類を条件付きで輸送許容物件に位置付ける。予備電池やモバイルバッテリーは、短絡防止のため個別に保護すること、不測の作動を防ぐ措置を講じること、国連の試験基準マニュアルが定める試験要件を満たすことなどを求める。対象となる電池は、リチウム金属電池がリチウム含有量2グラム以下、リチウムイオン電池がワット時定格量100Wh以下のものとした。

乗客のモバイルバッテリーが火元とみられる火災が起きたエアプサンの釜山発香港行きBX391便のA321 HL7763(BEA提供)
意見募集の対象は「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」と、その運用を定める通達の一部改正案で、期間は2月27日から3月30日まで。電子政府の総合窓口サイト「e-Gov」や電子メール、郵送で受け付ける。
国交省は、海外では「パワーバンク」と呼ばれるモバイルバッテリーについて、ICAO(国際民間航空機関)の基準に基づいて機内預け入れ荷物への収納を禁止し、機内持ち込みの個数や容量も制限するなど、航空法に基づいた対応を2025年7月8日から講じている。近年は全世界的にリチウム電池関連の機内火災が増えており、欠陥や脆弱性のある低品質なモバイルバッテリーの流通が懸念されていることから、ICAOで国際基準の緊急改訂案が取りまとめられ、日本もこれに準拠した見直しを進める。
ICAOの緊急改訂案は、3月下旬の理事会で審議され、承認されれば即時発効する見通し。日本もこれに合わせ、告示と通達を改正する。国交省は新たなルールの公布と適用開始を4月中旬ごろと見込むが、ICAO理事会での審議や採択の結果によっては、改正内容やスケジュールが変わる可能性があるとしている。
関連リンク
パブリックコメント [1](e-Gov)
国土交通省 [2]
JAL CAの訓練
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国内各社の対応
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モバイルバッテリー
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