日本航空(JAL/JL、9201)は11月13日、グループ6社の客室乗務員とグランドスタッフ(地上旅客係員)のスニーカー着用を解禁した。黒色でシンプルなスニーカーであれば着用でき、約1万4000人が対象となった。長時間の立ち仕事や移動の負担を軽減することで、サービスの向上につなげるといい、JALグループでは2020年に就航した中長距離LCC、ZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)に続く導入となった。
*初報はこちら [1]。

JALの訓練施設でスニーカーを着用してカートを操作する客室乗務員=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・働きやすさと安全性両立
・履きやすくシンプル
働きやすさと安全性両立
今回のスニーカー解禁にあたり、JALは客室乗務員とグランドスタッフとも、スニーカー着用に支障はないと判断。これまでの革靴やヒール、パンプスに加え、スニーカーも着用できるようにした。

着用するスニーカーを手にするJALの客室乗務員=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

客室乗務員とグランドスタッフのスニーカー着用解禁を説明するJAL客室品質企画部企画・運営グループの関口明子氏(右)と空港企画部旅客サービス企画グループの松田理子氏=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
客室乗務員のスニーカー着用を検証した客室品質企画部企画・運営グループの関口明子氏は「特に懸念材料はなく、むしろプラスの面が大きいと考えています」と話す。立ち仕事に加え、歩く距離が長くなるグランドスタッフも「大きな支障はないと考えています。空港の印象が大きく変わらないよう、黒色でシンプルという条件だけは明確にしました」(空港企画部旅客サービス企画グループの松田理子氏)と、動きやすさや歩きやすさがプラスに働くと判断した。
また、客室乗務員が座席上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)の収納状況を確認時に使う「フットステップ」に、足をしっかりと収められるサイズであることも、スニーカー解禁の条件とした。

JALの訓練施設でスニーカーを着用して手荷物収納棚を確認する客室乗務員=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの訓練施設でスニーカーを着用してカートを操作する客室乗務員=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの訓練施設でスニーカーを着用してカートを操作する客室乗務員=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALは現行制服の着用を2020年4月に開始。同じ年に就航したZIPAIRは、制服にスニーカーを採用すると2019年に発表し、当時は賛否両論が湧き起こった。
その後はスニーカーを採用する航空会社が国内外で増え、KLMオランダ航空(KLM/KL)やANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)の自社ブランド便「AirJapan」、スカイマーク(SKY/BC、9204)、エア・ドゥ(ADO/HD)などが導入。エア・ドゥは1998年に就航した際、客室乗務員が1999年12月まで1年間着用したサロペットの初代制服では、スニーカーを採用していた。
履きやすくシンプル
JALがスニーカーを解禁した背景には、制服運用の段階的な見直しがある。現行制服を導入した2020年には、パンプスに代わるフラットシューズやスラックスが選択肢に加わり、働きやすさを重視する方針となった。スニーカーの導入はその延長線上に位置づけられる。

客室乗務員とグランドスタッフのスニーカー着用を解禁したJAL=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの訓練施設でスニーカーを着用して車いすを押すグランドスタッフ=25年11月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
スニーカーは各自の私物となるが、JALによると、すでにパンプスなども各自が履きやすいものを購入する形になっているという。かつての制服は帽子や靴、バッグもセットだったものもあるが、働きやすいものが求められていく中、見直しが進んだ。
黒色でシンプルなデザインのスニーカーで、制服になじむものであれば、メーカーなどの指定もない。
JALグループのスニーカー解禁はJAL本体のほか、ジェイエア(JAR/XM)、日本エアコミューター(JAC/JC)、北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)、日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)、琉球エアーコミューター(RAC)の計6社を対象に実施した。
関連リンク
日本航空 [2]
ZIPAIRの制服発表
・スニーカーで働きやすく 特集・ZIPAIR制服お披露目 [3](19年4月13日)
2020年着用開始の11代目制服
・JAL、7年ぶり新制服着用開始 CAは11代目、地上係員7代目 [4](20年4月1日)
・CAはパンツスタイル初採用11代目 写真特集・JAL新制服 [5](20年4月27日)
写真特集・JAL新制服
(1)CAはパンツスタイル初採用11代目 [5](19年7月27日)
(2)ワンピース初採用の地上係員7代目 [6](19年8月2日)
(3)パイロットは女性専用が初登場 [7](19年8月4日)
(4)整備士・グラハンはデサントとモンベル [8](19年8月5日)
(5)夏の沖縄はかりゆし着用 [9](19年8月9日)