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スウェーデン、C-390を4機契約 7機オプション

 エンブラエルは現地時間10月6日、スウェーデン政府が多目的輸送機C-390「ミレニアム」を正式に4機契約したと発表した。今回の契約には、将来の追加取得を見据えた7機分の購入オプションも含まれており、欧州域内での共同調達の枠組みを活用したものとなる。

スウェーデン空軍のC-390のイメージ(エンブラエル提供)

 スウェーデンは、ターボプロップ(プロペラ)の戦術輸送機C-130のスウェーデン向け「TP 84」の後継機となる次期戦術輸送機として、2024年11月にC-390を選定。今年4月に導入を決定していた。国防力の強化に加え、訓練やロジスティクス分野で欧州域内の相乗効果も期待されている。

 スウェーデン空軍のウプサラ空軍基地で開かれた契約締結式には、ヨナス・ウィクマン空軍司令官やパール・ヨンソン国防相が出席。オランダやブラジル、オーストリア、ポルトガル、ハンガリー、チェコといったC-390導入国の関係者も出席した。

 オランダとオーストリアは2024年に9機を共同契約済みで、スウェーデンが加わることで3カ国による戦術輸送機の共同運用体制が広がる。北欧としては初の導入国となり、NATO(北大西洋条約機構)加盟国では5カ国目となった。

 エンブラエルの防衛部門トップであるジョアン・ボスコ・コスタ・ジュニア防衛・安全保障担当社長兼CEO(最高経営責任者)は「C-390が欧州とNATOで新たな戦術輸送機の標準となることを意味する」と述べた。オランダのハルバート・ヴォドセック装備総局長も「スウェーデンの合流により、今後数十年の作戦遂行能力と相互運用性が高まる」と歓迎した。

 C-390の最大ペイロードは26トン。航続距離は26トン搭載時が2000キロ(1080海里)、フェリー時が6241キロ(3370海里)、最高巡航速度はマッハ0.80(470ノット)で、貨物や物資、部隊の輸送、捜索救助など、多目的に運用できる。

 これまでにC-390/KC-390を選定した国は9カ国で、ブラジルとポルトガルが空中給油・輸送機のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国、スウェーデン、スロバキアは輸送機のC-390を選定。2024年12月には、匿名顧客がC-390を2機発注しており、今年6月にはリトアニアがC-390を次期輸送機に選定し、3機導入する契約締結を目指している。

ブラジル空軍のKC-390の機内=24年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スウェーデンで開かれたC-390の契約締結式(エンブラエル提供)

関連リンク
Försvarsdepartementet [1]
Embraer Defense & Security [2]

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