9月12日午後7時8分ごろ、ユナイテッド航空(UAL/UA)の成田発セブ行きUA32便(ボーイング737-800型機、登録記号N39297)が、関西空港に緊急着陸した。国土交通省航空局(JCAB)によると、乗客乗員142人が乗っていた。航空法が定める「航空事故」につながりかねない「重大インシデント」に認定し、国の運輸安全委員会(JTSB)が調査官2人を派遣して、13日午後から現地調査を始める。
*代替機によるUA3044便として関空を出発。記事はこちら [1]。

関空に緊急着陸したユナイテッド航空の737-800当該機N39297(成田で撮影。資料写真)=25年7月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
UA32便は、成田の第1ターミナル41番ゲートから12日午後5時21分に出発し、A滑走路(RWY34L)から同42分に離陸。高度3万4000フィートで飛行中、貨物室で火災が起きたことを知らせる警報が出たため、午後6時30分すぎに和歌山県串本町沖で右旋回して目的地を関空に変更し、午後7時8分にA滑走路(RWY24L)へ着陸し、隣接する誘導路に停止した。乗客乗員は脱出用シューター(脱出スライド)を使い、緊急脱出した。
関空には滑走路が2本あり、運営する関西エアポート(KAP)によると、A滑走路はUA32便が着陸した午後7時8分から閉鎖。B滑走路側に配備された空港の消防車も出動したため、安全運用を確保できないことから、B滑走路も午後7時37分から閉鎖されて午後8時15分に再開した。A滑走路も当該機を駐機場へ移動させた後、13日午前2時28分に運用を再開し、2本の滑走路は通常通り離着陸できるようになった。
消防による消火活動は行われなかったが、乗客乗員が機体から脱出用シューターで脱出する際、消防士たちがシューターを支えるなど地上側で援助した。
緊急着陸の影響で、12日は午後7時以降の出発便に最大約4時間の遅れが生じた。B滑走論の閉鎖解除後は、午後10時30分前後の出発便から徐々に通常通りの運航に戻った。
ユナイテッド航空の成田-セブ線は、2024年10月27日に就航。成田からの以遠権を活用した路線で、当該機は7月11日に就航した成田-高雄線の初便に投入された機体だった。

関空に緊急着陸したユナイテッド航空UA32便の地上走行経路(Flightradar24から)
代替機でセブへ
・緊急着陸のユナイテッド航空セブ行き、代替機で関空出発 [1](25年9月13日)
運輸安全委員会
・李家運輸安全委員長、日航機事故40年で安全の大切さ強調 [4](25年8月27日)
・運輸安全委、ジェットスター中部脱出で報告書 滑降姿勢と援助体制に課題 [5](25年5月6日)
重大インシデント
・国交省、ANAウイングスに厳重注意 湖面近く降下で警報作動などトラブル相次ぐ [6](25年8月29日)
・24年度上期の航空事故4件、重大インシデント2件=国交省 [7](25年7月10日)
成田-セブ
・ユナイテッド航空、成田-セブ7/31就航 737でデイリー [8](24年3月8日)