米サウスカロライナ州のチャールストン国際空港で、現地時間7月18日に接触事故を起こした全日本空輸(ANA/NH)のボーイング787-10型機(登録記号JA986A)が9月1日、羽田空港へ到着した。隣接するボーイングの工場で製造された新造機で、受領後に羽田へフェリー(空輸)する際に駐機中の他社機と誘導路上で接触。米国で修理後に日本へ向かった。

ANAの787-10国内線仕様機の同型機(資料写真)=25年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
当該機は、チャールストン空港に隣接するボーイングの最終組立工場「BSC(ボーイング・サウスカロライナ)」で、7月18日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)へ引き渡された。787-10の国内線仕様機では最新の6号機で、座席数は2クラス429席(プレミアムクラス28席、普通席401席)、エンジンはGE製GEnx-1Bを搭載している。
事故から約1カ月後の8月20日に米カリフォルニア州ビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港へ移され、30日に経由地のホノルルに向けて出発。翌31日にホノルルを出発して、羽田のB滑走路(RWY22)へ9月1日午前11時20分すぎに着陸し、811番スポットへ到着した。
接触事故は、7月18日午後9時40分(日本時間19日午前10時40分)ごろ発生。羽田へのフェリーフライトのNH9397便として経由地のロサンゼルスへ向かうため、チャールストン空港の誘導路をタキシング(地上走行)中、駐機していたブリーズ・エアウェイズ(MXY/MX)のラスベガス発ノーフォーク行きMX509便(エアバスA220-300型機、N247BZ)の垂直尾翼に、ANA機の左主翼端が接触した。米国のNTSB(米国家運輸安全委員会)は、7月28日に「航空事故」に認定したと発表した(関連記事1 [1])。
787-10の国内線仕様5号機(JA985A)の場合、羽田へは今年の2月1日に到着。同月8日の羽田発那覇行きNH993便が初便となった(関連記事2 [2])。
日本の航空会社が運航する機体が、海外で接触事故を起こした直近の事例では、今年2月5日にシアトル・タコマ国際空港で、日本航空の787-9(JA868J)の右主翼が、駐機してあったデルタ航空(DAL/DL)の737-800(N3737C)の垂直尾翼に接触。同空港で修理後、3月6日にシアトルを出発し、翌7日に羽田へ到着した。復帰初便は4日後の11日の羽田発大連行きJL23便だった。JAL機の接触事故も、NTSBが「航空事故」に認定し、調査を続けている(関連記事3 [3])。
関連リンク
全日本空輸 [4]
JA986A
・ANA 787-10新造機の他社機接触、米運輸安全委が航空事故認定=チャールストン [1](25年7月29日)
・ANA 787-10新造機、米チャールストンで他社機に接触 ブリーズのA220に [5](25年7月20日)
ANAの787-10国内線仕様機
・ANA、787-10国内線5号機が就航 初日は羽田-那覇・広島 [2](25年2月8日)
・ANA、国内線新旗艦機787-10就航 ”最大の787″初便は札幌へ [6](24年3月27日)
・ANA、787-10国内線仕様お披露目 777-200より大きい次世代旗艦機 [7](24年3月25日)