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ポルトガル空軍、A-29NATO仕様が初飛行 KC-390 3号機も受領し編隊飛行

 エンブラエルは、ポルトガル空軍向け軽攻撃・練習機A-29N「スーパートゥカーノ」の初飛行を実施し、空中給油・輸送機KC-390「ミレニアム」の3号機を納入した。両機による編隊飛行も行われた。

初飛行するポルトガル空軍のA-29N(左)と3機目の受領となったKC-390の編隊飛行(エンブラエル提供)

 式典は現地時間7月17日に実施。初飛行を終えたA-29Nは、2024年に発注された12機のうちの1機で、ポルトガルがNATO仕様のローンチカスタマーとなる。

 A-29は、近接航空支援、航空哨戒、特殊作戦、阻止任務、JTAC(統合ターミナル攻撃管制)、FAC(前方航空管制)、TAC(戦術調整)、武装ISR、国境監視、偵察、護衛、各種訓練など、幅広い任務に対応している。訓練は初級から上級まで含み、制空戦闘機への移行やJTAC/LIFT、FAC訓練も実施できる。累計飛行時間は60万時間を超え、22カ国の空軍から290機以上を受注している。

 今回初飛行したA-29Nは、先進的なアビオニクスとNATO仕様の通信システムや、非公開の機能を備える。

 A-29の愛称は「Super Tucano」で、Tucanoはブラジルに生息する色鮮やかなクチバシをもつ大型の鳥で、ポルトガル語で「オオハシ」を意味する。日本では「スーパーツカノ」という表記がみられるが、ブラジルやポルトガルでは「スーパートゥカーノ」と発音されている。

初飛行したポルトガル空軍のA-29N(手前)と3機目の受領となったKC-390(エンブラエル提供)

3機目の受領となったポルトガル空軍のKC-390(エンブラエル提供)

 3号機を引き渡したKC-390は、エンブラエルとポルトガル政府との契約に基づくもので、最終的に6機が運用される計画。契約には、NATO(北大西洋条約機構)や同盟国向けに最大10機の購入オプションが含まれる。

 KC-390は、ペイロード能力が26トンで、最大速度は470ノット。貨物や兵員の輸送、空挺投下、患者搬送、捜索救難、消防、人道支援など、さまざまな任務に対応可能で、未舗装・仮設の滑走路からも運用できる。また、空中給油機としても運用でき、NATOの要求も満たしている。

 KC-390を導入しているのは、ポルトガルのほか、ブラジル、韓国、ハンガリー、オランダ、オーストリア、チェコ共和国、スウェーデン、スロバキア、リトアニアを含む11カ国となっている。

初飛行するポルトガル空軍のA-29N(左)と3機目の受領となったKC-390の編隊飛行(エンブラエル提供)

3機目の受領となったポルトガル空軍のKC-390(エンブラエル提供)

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Embraer Defense & Security [2]

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