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インド最大手インディゴ、A350で日本就航視野 CEO「訪日需要大きい」

 インド最大の航空会社インディゴ(IGO/6E)のピーター・エルバースCEO(最高経営責任者)は現地時間6月2日、エアバスA350-900型機を受領する2027年以降、日本路線開設を目指す考えを明らかにした。提携する日本航空(JAL/JL、9201)とのコードシェア(共同運航)も、インディゴのシンガポール線、バンコク線就航と共に拡大する。

デリーで取材に応じるインディゴのピーター・エルバースCEO=25年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
A350が必要
日印市場の違い注視

A350が必要

 インディゴは、JALとのコードシェアを2024年12月16日から開始。インディゴが運航するインド国内線とJALのインド路線との接続利便性を高めたもので、インド側はベンガルールやムンバイ、コルカタ、ハイデラバードなど17都市を対象にしている。

デリーで開かれているIATAの第81回年次総会の会場で客室乗務員らと記念撮影するインディゴのピーター・エルバースCEO(中央)=25年6月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 デリーで開かれているIATA(国際航空運送協会)の第81回AGM(年次総会)で、Aviation Wireなどの取材に応じたエルバースCEOは、JALとの提携について「ステップ1がインド国内線による17都市への接続で、ステップ2は、まもなく実現するインディゴのシンガポール線、バンコク線だ。(これらの都市で)JALの成田、羽田、関西路線と接続する」と語った。

A350-900を30機追加発注したインディゴのピーター・エルバースCEO(右)=25年6月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「その次のステップが日本へ就航することだ。それにはA350-900か、A321XLRが必要になるだろう」と述べ、自社便による日本就航は早くてもA350-900の受領が始まる2027年以降との考えを示した。

 インディゴは1日に、A350-900を30機追加発注するMoU(覚書)をエアバスと締結したと発表。すでに30機を確定発注済みで、今回の契約と合わせて60機に倍増した(関連記事1 [1])。

日印市場の違い注視

 JALと太平洋ルートでインドから北米への3国間流動を構築する一方で、インディゴは1日にデルタ航空(DAL/DL)、エールフランス航空(AFR/AF)とKLMオランダ航空(KLM/KL)を傘下に持つエールフランス-KLM、ヴァージン・アトランティック航空(VIR/VS)との提携をデリーで発表。インドから欧州や大西洋ルートでの北米への渡航需要が取り込めるようになる(関連記事2 [2])。

デリーで取材に応じるインディゴのピーター・エルバースCEO(右)とJALのロス・レゲット常務=25年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

インドのデリーで協業を発表するインディゴ、デルタ航空、エールフランス-KLM、ヴァージン・アトランティック航空のトップと客室乗務員ら=25年6月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エルバースCEOは「インディゴは現在、非常に初期の段階にある。当社の国際ネットワークは中東から東南アジアにかけた地域に集中しているが、ワイドボディ機が導入されるにつれ、拡大していくだろう。これを踏まえて、来月マンチェスターとアムステルダムへ就航することを発表した」と説明した。

 「これにより、KLM、エールフランス、ヴァージン、デルタのネットワークに接続する機会が得られる。現在、北大西洋路線は運航していないが、デルタとKLMと共同で、アムステルダムとマンチェスターを拠点に、欧州のネットワークと大西洋横断ネットワークを開設する良いスタートになるだろう」(エルバースCEO)と、太平洋と大西洋の両方向でインドと北米をつなぐ考えを示した。

デリーで開かれているIATA年次総会の会場に設けられたインディゴのブース=25年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

デリーで開かれているIATA年次総会の会場に設けられたインディゴのブースで冊子を手にするスタッフ=25年6月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALで路線事業本部長を務めるロス・レゲット常務は、インディゴの大西洋ルートの提携について「インドのパートナーはインディゴであり、戦略そのものは変わらない。特に米西海岸とインドは日本周りの方が近い」と、インドから西海岸への渡航は太平洋ルートに優位性があると説明。「インドのマーケットは非常に大きく、今でも十分に取れている」(レゲット常務)として、今後も提携関係を深めていく。

 エルバースCEOは「インドの旅行者は海外旅行好き。現在は旅行費用がかなり手頃で、外国人旅行者が日本へ行くのは魅力的だ。インドの旅行者は、日本のピークシーズンではなく、異なる季節に旅行することを好む。そのため、インドの旅行者が日本を訪れる機会はとても大きく、逆もまた然りだ」と述べた。「日本人のグループがインドを訪れるケースも一部見られる。まだ多くはないが、この関係をさらに深める機会はあるだろう」と、双方向の旅行需要拡大に意欲を見せた。

 「JALは歴史が長く、成熟した市場を持つ確立された企業だ。一方、インディゴは極めて若い航空会社。インドは日本の真逆で若年層が急速に増加しており、市場も成熟していないため、日本とインドは全く異なると言える。数週間前に日本を訪れた際、日本とインドの市場や動向がどれだけ異なるかを再認識した。この2つの市場を結びつける機会は非常に大きい」(エルバースCEO)と、日本市場を重視していく姿勢を示した。

関連リンク
IndiGo [3]
日本航空 [4]

デルタなどと提携
インド最大インディゴ、欧米路線の接続強化 デルタ・AF-KLM・ヴァージンと多分野協業へ [2](25年6月1日)

A350を追加発注
インド最大インディゴ、A350-900を30機追加発注 確定60機に倍増 [1](25年6月1日)

JALとインディゴ
JALはなぜインド最大インディゴと組むのか 特集・レゲット常務に聞く「品質高い」LCCの実力 [5](24年6月4日)
JALと印インディゴ、12月からコードシェア開始 [6](24年11月25日)
JAL、インド最大インディゴとコードシェア 冬ダイヤから [7](24年6月3日)

インディゴの発注
印インディゴ、A350-900を30機発注 初のワイドボディ、27年受領 [8](24年5月7日)
印インディゴ、A320neo系列500機発注 世界最大顧客に [9](23年6月20日)