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スペースジェット、米国で初号機解体 モーゼスレイク試験機は全機解体へ

 三菱重工業(7011)が開発を中止した「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の飛行試験機のうち、2015年に初飛行した初号機(登録記号JA21MJ)が、米ワシントン州モーゼスレイクで現地時間3月8日(日本時間9日)に解体された。スペースジェットの飛行試験機の解体は、2022年の3号機(JA23MJ)に続き2機目となった。

飛行試験拠点であるモーゼスレイクのグラントカウンティ空港を離陸するMRJの飛行試験初号機=18年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 シアトル在住の航空ジャーナリスト、アイザック・アレクサンダー氏のTwitterによると、初号機は保管されていたモーゼスレイクのグラントカウンティ空港で解体された。同機は2014年10月18日にロールアウト(完成披露)し、2015年11月11日に初飛行に成功。国産旅客機の初飛行は、半民半官の航空機メーカー、日本航空機製造によるターボプロップ機YS-11型機の試作1号機(JA8611)以来、53年ぶりだった。

 グラントカウンティ空港には、スペースジェットの米国の飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」があったが2022年3月末で閉鎖され、日本から持ち込んだ全4機の飛行試験機のうち、最初に解体された3号機の日本国籍機としての登録は同月で抹消された。

 三菱重工によると、残り2機の2号機(JA22MJ)と4号機(JA24MJ)は現在モーゼスレイクで保管中だが、今のところ現地で廃棄予定だという。


 国内には、愛知県小牧市の県営名古屋空港に隣接する格納庫に10号機(JA26MJ)などが保管されているとみられるが、三菱重工によると詳細は開示していないという。一方、同社の泉澤清次社長はスペースジェットの開発で得た知見を航空自衛隊向けの次期戦闘機などの開発に生かすとしており、機体を保存できるかなどを検討している。

 同空港に隣接する最終組立工場内にオープンした展示施設「MRJミュージアム」の今後については、まだ決定したものはないという。

 三菱重工は、スペースジェットの開発中止を2月7日に正式発表した。

関連リンク
三菱重工業 [4]
三菱航空機 [5]
Isaac Alexander [6](Twitter)

当紙スクープ
【独自】スペースジェット、開発中止決定 次期戦闘機に知見生かす [7](23年2月6日)
三菱重工、スペースジェット開発中止を正式発表 [8](23年2月7日)

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