全日本空輸(ANA/NH)は12月8日、空港のカウンターでチェックイン業務などを行う地上係員(グランドスタッフ)の接客技術を評価する「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」を、羽田空港近隣の総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」で開催した。15回目の今回は2019年以来3年ぶりに対面開催となり、成田空港の野原まりなさんがグランプリを獲得した。
—記事の概要—
・6000人の中から12人出場
・乗客役からの“トラップ”対応力
・井上社長「ビジネスへの展開が私の課題」
6000人の中から12人出場
今回のテーマは、「Be the Leader of Innovation~私たちならできる~」。環境の変化が加速する中、自分のスキル能力を発揮し、地上係員が「変革の担い手」としての活躍を期待してテーマを決定した。今回は国内と海外計94空港の約6000人の地上係員の中から、61空港67人による予選を勝ち抜いた国内線7人と国際線5人の計12人が本選に出場。国際線は5人のうち3人が海外空港から参加した。
本番では、1人あたり5分程度の持ち時間で実力を披露した。旅客視点やiPadを活用した情報提供、次回の搭乗につながる案内などで審査し、利用客のニーズに合っているかやイレギュラー時の対応力などを見極めた。
審査員はANA社内の6人が務め、井上慎一社長と、オペレーション部門統括の横山勝雄専務執行役員、客室センター長の西嶋直子上席執行役員、CX推進室長の石井智二上席執行役員、デジタル変革室長の荒牧秀知執行役員、オペレーションサポートセンター空港サポート室旅客サービス部の加藤一徳部長が審査した。
乗客役からの“トラップ”対応力
コンテストでは、さまざまな乗客役を社員が演じた。長い列に並びたくない乗客役の社員にはオンラインチェックインを勧めたり、妊婦の利用客には専用のカウンターを案内するなど、出場した12人には、すべて異なる“トラップ”を用意した。
グランプリとなった野原さんは、成田からホノルルへ新婚旅行で向かうカップルへの応対力を審査。今回のカップルはエアバスA380型機のビジネスクラス利用客という設定で、機内食のメニューを尋ねられた野原さんは、メニューをウェブサイトで確認できると案内し、自身のiPadでメニューを示した。またラウンジを利用できることも案内。カップルからラウンジでの食事でのおすすめを聞かれ、「私は出国時にうどんを食べてから海外へ向かう」とアドバイスした。
カップルが「英語の方が話しやすい」と話すと英語での対応に切り替え、A380の機内に備える虹色の照明など、おすすめを紹介。また、生花を手にしていたことから、野原さんは生花を米国に持ち込めるかどうかを調べるなどの対応力をみせた。
井上社長「ビジネスへの展開が私の課題」
今回のスキルコンテストはオンラインでの配信に加え、12回大会以来3年ぶりの対面開催となった。過去2回は開催したものの、録画収録した実技を審査し、オンラインで発表するものだった。今年4月にANAの社長に就任し、今回が初参加となった井上社長は「対面での緊張感などを感じ取ることができた。高い接遇力への工夫・努力が如実に表れた結果」と満足した様子で語った。また、地上係員の接遇力を「世界に誇れる」と評価。「(接遇力を)どのようにビジネスに展開するかは私の課題」とし、接遇力を各所にアピールする姿勢をみせた。
グランプリを獲得した野原さんは「本当にうれしい。あっという間に終わった本番を通じ、たくさんのお客さまを接遇できる喜びを感じた」と喜びをあらわにした一方「お客さまとの出会いは一期一会。ANAの印象の一端を担っている責任を持って頑張っていきたい」と話し、気を引き締めた。
準グランプリは佐賀空港の森永優奈さんが、審査委員特別賞は青島空港の王玉倩(ワン イユチェン)さんが、それぞれ受賞した。
空港カスタマーサービス スキルコンテスト出場者(敬称略で出場順、括弧内は所属空港)
緒方 文香(大分空港)
KHAIRUL AZAN〈カイルル アザン〉(クアラルンプール空港)
王 玉倩〈ワン イユチェン〉(青島空港)
井尻 圭亮(伊丹空港)
松木 香澄(高知空港)
Mikael Rhy Ramon〈ミカエル ライ ラモン〉(マニラ空港)
森永 優奈(佐賀空港)
阿部 美月(羽田空港・国際線)
渡邊 きらら(熊本空港)
木村 光里(福島空港)
居松 美和(中部空港)
野原 まりな(成田空港・国際線)
関連リンク
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