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ANAも欧州便ルート変更 日本発を北回りで時間短縮、4/18ブリュッセル行きから

 全日本空輸(ANA/NH)は4月15日、欧州路線の日本発便の飛行ルートをアラスカなどを飛びロシア領空を迂回(うかい)する「北回り」でも運航できるようにすると発表した。中央アジアを飛ぶ「南回り」よりも、偏西風に乗って飛ぶことで1時間程度飛行時間を短縮できる。復路は現在と同じ南回りを継続し「世界一周」型のフライトになる。ボーイング787-9型機に乗客を乗せない貨物専用便となる18日の成田発ブリュッセル行きNH9899便から実施し、他路線への展開を検討する。

欧州路線の日本発便を北回りにするANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 18日から実施するのは成田発ブリュッセル行きで、現在の南回りは15時間40分ほどの飛行時間だが、最短で1時間程度早く到着できる見込み。偏西風(ジェット気流)の影響で、日本から欧州へ向かう場合は北回りが、欧州から日本に戻る場合は南回りが追い風で飛行できるルートとなり、飛行時間が短くなることに加えて、向かい風で飛ぶよりも燃料の搭載量を減らして乗客や貨物をより多く積めるようになる。このため、欧州から日本へ向かう復路は追い風で飛べる南回りを継続する。

 ブリュッセル線以外の欧州路線は、5月10日までの羽田-フランクフルト線は往復とも南回りで、羽田発はウィーン経由、フランクフルト発は直行で運航する。現在の日本発欧州行きの便は向かい風になる南回りのため、北回りよりも搭載量の制約が大きいことから、旅客と貨物の需要動向に応じてウィーン経由を設定している。

 11日以降の欧州路線は、運航スケジュールやルートを含めて検討中だという。

 国内の航空会社では、日本航空(JAL/JL、9201)が4月12日に欧州路線のうち欧州発を南回りに変更すると発表。現在JALは往復とも北回りで、日本発は北回りを継続し、19日から欧州発を南回りに変更する。対象は羽田-ロンドンとヘルシンキ、パリの3路線で、南回りの実施に先立ち7日のパリ発成田行きで乗客を乗せない検証フライトを実施している。

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全日本空輸 [1]

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