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JAL、空飛ぶクルマ最大100機導入へ 大阪万博視野にeVTOL機VA-X4

 アイルランドに拠点を置く航空機リース会社のアボロンは現地時間10月20日、日本航空(JAL/JL、9201)と「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸)機の日本市場での商業化に向けたパートナーシップを締結したと発表した。JALは英バーティカルエアロスペース(Vertical Aerospace)が開発を進めているeVTOL「VA-X4」を追加分を含めて最大100機購入またはリースできる契約を結んだ。2025年開催の大阪関西万博での実用化を目指す。

JALとのeVTOLの提携を発表するアボロンのウェブサイト

 アボロンは、投資・イノベーション会社であるAvolon-eを通じてJALと提携。JALと戦略的パートナーシップを結ぶことで、日本国内のパートナーや顧客、インフラ要件、認証などの調査を進める。

 JALはVA-X4を最大50機まで購入またはリースできる権利を有し、さらに追加で最大50機まで購入またはリースできる。

バーティカルエアロスペースのeVTOLのイメージイラスト(バーティカルエアロスペース提供)

 バーティカルエアロスペースは、英国政府から支援を受け、EASA(欧州航空安全庁)などとの連携や他国企業との提携により、eVTOLの開発を進めている。また、SPAC(特別買収目的会社)との合併による米国での上場計画があり、アメリカン航空(AAL/AA)やヴァージン アトランティック航空(VIR/VS)、航空機リース会社のアボロンなどから今回の契約も含めて1350機、約54億ドル(約5930億円)の条件付き予約を獲得している。

 9月24日には、丸紅(8002)と子会社の丸紅エアロスペースが同社と業務提携し、丸紅から最大200機の予約を条件付きで獲得している。

 VA-X4は2024年にEASAから承認を取得予定で、パイロット1人を含む5人が搭乗できる。将来的には遠隔・自律飛行への移行を計画しており、航続距離は100マイル(約161キロ)超、最大速度は202mph(約325キロ)となる見込みで、東京駅と成田空港を約14分で移動できる。日本では国土交通省航空局(JCAB)の型式証明(TC)取得を目指す。

 JALはeVTOLのほか、ユナイテッド航空(UAL/UA)が導入を決めた超音速旅客機「Overture(オーバーチュア)」を開発している米Boom Technology(ブーム・テクノロジー、本社デンバー)にも出資するなど、次世代成長分野に投資を続けている。

*大阪万博に向けて独Volocopterと実証実験へ。記事はこちら [1]

関連リンク
Avolon [2]
Vertical Aerospace [3]
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