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JAL赤坂社長、早期復配と成長誓う 株主総会399人出席

 日本航空(JAL/JL、9201)は6月17日、第72期株主総会を東京・有明の東京ガーデンシアターで開催し、取締役と監査役選任の2議案をともに可決して閉会した。総会で議長を務めた赤坂祐二社長は、5月に発表した2021-25年度中期経営計画を基に会社の現状を株主に説明し、2023年度までの早期復配と、2024年以降の事業成長を誓った。

東京・有明で開かれたJALの株主総会=21年6月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東京・有明で開かれた株主総会であいさつするJALの赤坂祐二社長=21年6月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 赤坂社長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について、「ビデオ会議の普及もあり、ビジネス需要は(コロナ前と同等に)戻らないが、観光・訪問需要は今後も着実に成長していく」と説明。JALによるFSC(フルサービス航空会社)事業は、拡大を緩めて「当面ダウンサイズを行う」とし、観光・訪問需要の成長を取り込むため、LCC(低コスト航空会社)事業を拡大していく姿勢を示した。

 FSC事業の機材計画は、国内線の大型機はエアバスA350型機に統一し、国際線はボーイング777型機をA350に更新。777-300ERの後継機であるA350-1000を、2023年度から欧米路線に投入する。

 LCC事業の売上は、コロナ前の2019年度比で2025年度は約2倍に成長させる。100%子会社のZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)が東南アジアやハワイ、米国などの中長距離国際線、月内に子会社化する春秋航空日本(SJO/IJ)が中国路線、50%出資するカンタス航空(QFA/QF)系のジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が国内線と近距離国際線を展開し、成田空港を拠点に異なるマーケットを3社で取り込む。

 会場を訪れた株主は399人で、昨年よりも6人減少。所要時間は昨年と同じ1時間54分で、質問者は昨年から2人減り11人だった。昨年は2014年以来6年ぶりに退場者が出たが、今回はいなかった。

 株主からは、JALが出資している米Boom社が開発中で、ユナイテッド航空(UAL/UA)が発注した同社製超音速機の導入について質問が出た。担当するデジタルイノベーション本部長の西畑智博常務執行役員は、「超音速機の導入は何も決めていないが、株主として応援したい」と応じた。

 また、持株会社制導入の可能性を質問した株主に対し、赤坂社長は「今のままでも十分」と否定しつつ、「客室乗務員がほかの仕事もできるようにするなど、人材のマルチスキル化の準備を日ごろからしておかなければならない」(赤坂社長)と述べ、乗務以外のスキルを磨くことが、航空需要減退時のリスク対策にもつながるとの考えを示した。

東京・有明で開かれたJALの株主総会=21年6月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 質問者11人のうち、5人が2010年1月19日に経営破綻した際に生じた整理解雇について質問。JALは当時、国の企業再生支援機構から支援を受けるにあたり、事業規模を破綻前の3割に縮小し、希望退職や早期退職、整理解雇により全体の3分の1に相当する1万6000人の従業員を削減した。このうち、整理解雇はパイロット81人と客室乗務員84人の計165人だった。

 JALは、破綻時に会社を去った人を対象に、再雇用する経験者採用制度を2018年から導入。整理解雇者を含む100人を再雇用したと説明し、理解を求めた。解雇者側が起こした訴訟も、最高裁で整理解雇の有効性が確定していることに改めて言及した。

 質疑応答後の議案採決では、取締役9人と監査役1人を選任する議案が原案通り可決した。取締役に安全推進本部長の堤正行常務執行役員、非常勤社外取締役にヤマハ発動機(7272)会長の柳弘之氏、監査役には前整備本部長の北田裕一氏が選任された。

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