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タイLCCノックスクートが清算手続き 従業員は解雇

 タイのLCC(低コスト航空会社)のノックスクート・エアライン(NCT/XW)は現地時間6月26日、会社を清算すると発表した。従業員425人は解雇された。14日後を目処に開催予定の株主総会で同様の決議をする見通し。

会社を清算すると発表したノックスクート=18年6月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 バンコクのドンムアン空港を拠点とするノックスクートは、タイのLCCのノックエア(NOK/DD)とシンガポール航空(SIA/SQ)系LCCのスクート(TGW/TR)の出資により、2014年設立。日本には成田空港と関西空港、新千歳空港に乗り入れていた。機材はボーイング777-200ER型機が7機で、座席数は2クラス415席だった。

 最初の日本路線となったバンコク-成田線は、2015年3月末までの就航を目指していたものの、同時期にタイ航空局(CAAT)が国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)から「重大な安全上の懸念(SSC)」を指摘されたあおりを受けて就航を延期。チャーター便を運航後、2018年6月1日に就航した。2路線目のバンコク-関西線は同年10月28日に、3路線目のバンコク-札幌(新千歳)線は2019年10月27日に開設した。

 旺盛な訪日需要により成田線の増便もみられたが、26日の声明によると「2014年の設立以来、非常に厳しい状況の中で運航している」と、採算性の改善がみられなかったようだ。競争環境の激化に加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による渡航制限や需要急減で業績がさらに悪化。「需要回復と持続的な成長への道筋が見えていない」として、同社の取締役会は精算を決めた。

 従業員は解雇手当を支払った上で解雇したとしており、今後は少人数が清算完了まで残るという。

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