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エンブラエル、民間機新社長にマイヤーCCO昇格 統合破談で立て直し

 エンブラエル民間機部門の社長兼CEO(最高経営責任者)に、アルジャン・マイヤーCCO(最高商務責任者)が現地時間6月15日付で昇格した。前CEOのジョン・スラッテリー氏は航空エンジン大手GEアビエーションのCEOに転じた。エンブラエルはボーイングとの民間機事業の統合中止に加え、中国から拡散した新型コロナウイルスによる航空機需要の減少で厳しい経営局面を迎えている。経営幹部の離脱も報じられる中、新CEOには難しいかじ取りが迫られる。

民間機部門のトップ交代で立て直しを急ぐエンブラエル=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 マイヤー社長(47)はオランダに本拠を置くKLMグループ出身。エンブラエルには欧州や中東などを担当する副社長として2016年4月に入社し、2017年1月からマーケティングと世界6地域の販売を統括するCCOを務めてきた。これまでに、CCOとして航空会社35社との取引をまとめた実績を持つ。

 本社がブラジルにあるエンブラエルはリージョナルジェット機の世界最大手で、民間機メーカーでは世界第3位。ボーイングと民間機事業統合を目指したが、交渉が折り合わなかったとして今年4月25日に中止を発表し、仲裁手続きを進めている。また、新型コロナの影響で2020年1-3月期決算は2億9200万ドル(約314億円)の純損失となるなど、経営は厳しい局面を迎えている。

 スラッテリー氏がGEアビエーションCEOに転じたことについて、エンブラエルのアレクサンドル・シルヴァ会長はこれまでの感謝を述べた上で「幸いにも航空業界で働き続けるため、業界として彼に頼り続けることになる」との見方を示した。

 一方、ロイター通信は16日、3人の関係筋の話としてエンブラエルのネルソン・サルガドCOO(最高執行責任者)ら4人の経営幹部が同社を離れると報道。エンブラエルは新社長起用で民間機事業の立て直しを図る狙いだが、当面は経営を巡る混乱が続く可能性もある。

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