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JAL、A350は計画通り受領 777更新で運航コスト削減

 日本航空(JAL/JL、9201)の菊山英樹専務執行役員は4月30日、導入を進めているエアバスの大型機A350-900型機について、今年度は計画通り受領していく考えを示した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、2020年1-3月期(第4四半期)は純損益が229億円の赤字と、2012年9月19日の再上場以来初めて赤字に転落し、2021年度のコスト削減を進める中、新型機を計画通り導入して運航コストを抑える。

20年度は計画通り受領するJALのA350=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは2020年度の設備投資について、当初は約2000億円を想定していたが、航空機300億円と地上投資など200億円の合せて約500億円を削減。現時点で約1500億円に抑え、手元資金を確保する。

 A350はボーイング777型機の後継機として、JALは最大56機導入する計画。確定発注は標準型のA350-900が18機、長胴型のA350-1000が13機の計31機で、このほかにオプション(仮発注)で25機購入する契約を結んでいる。

 2019年9月1日に就航したA350-900は主に国内線用777-200の、2023年度以降に就航予定のA350-1000は長距離国際線用777-300ERの後継となる。A350-900は2019年末までに5機受領し、2020年度は4機の受領を計画している。

 菊山氏は「ほとんど出来上がっている飛行機の(受領)引き延ばしは難しい。A350は777の後継機なので、運航効率や環境面で更新していくことに合理性があり、今年度は予定通り導入していく」と語った。

成田空港で貨物専用便の787-8から降ろされたマスクが入った段ボール=20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、旅客便が大幅に運休する中、医薬品や食料品など貨物輸送のニーズが高まっている。JALは旅客機を活用した貨物専用便を、3月から5月までに1922便の運航を計画しており、今後さらに増便する見通しだ。床下の貨物室に加え、客室のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)にも貨物を搭載しており、5月以降は客席にも段ボールなどを積み込む計画を進めている。

 一方、海外の航空会社では客席を取り外し、客室の一部を貨物スペースに改修する動きもみられる。菊山氏は「貨物で限界利益が出れば、飛行機を飛ばすことはできる。マスクの輸送など需要が高まっており、座席を外すかは別として客室にも積むことで、社会的使命を果たしていく」と語った。

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