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ANAの国際新路線、就航延期も 運休・減便58路線、過半数に影響

 全日本空輸(ANA/NH)は3月17日、国際線の便数計画の一部変更を発表した。中国本土から感染が拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)の影響によるもので、一部の路線を運休・減便するほか、羽田-ミラノ線など新路線の開設を延期する。夏ダイヤ初日の29日から4月24日までの27日間で、計画値の57%に相当する58路線2630便に影響が出る見通し。

3月29日からの国際線で58路線2630便に影響が出るANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAが29日から計画している国際線は、新路線11路線を含め72路線。このうち、既存路線は運休が羽田-ニューヨーク線など25路線、減便は羽田-フランクフルト線など22路線で、通常運航は12路線となる。新規11路線のうち、計画どおり就航するのは羽田-ヒューストン線とサンフランシスコ線の2路線のみで、5路線が減便、4路線が就航延期となった。また、増便を計画していた羽田-ロサンゼルス線など2路線は増便を延期した。

—記事の概要—
中国本土21路線
北米16路線
欧州9路線
東南アジア15路線
東アジア6路線
インド・豪州5路線

中国本土21路線

 国際線のうち最も多い21路線を運航する中国本土路線は、運休が14路線、減便が5路線で、通常運航はない。夏ダイヤ期初で2路線の開設を予定しているが、いずれも就航が延期となった。

 新規路線は、羽田-青島線と羽田-深セン線の2路線で、1日1往復ずつの運航を計画していた。青島線は3月31日まで運休し、翌4月1日から週4往復に減便して開設する。深セン線の就航は延期となり、開設日は未定となった。

 中国本土路線で減便となったのは5路線で、1日2往復の羽田-北京線は1往復に減便。3月31日までは政府の方針により中国と韓国からの到着空港が成田と関空のみに制限されていることから、29日から31日までは成田を発着する。1日3往復の成田-上海(浦東)線は1往復に、1日1往復ずつ運航する成田-大連線は週4往復に、成田-厦門線は週2往復に、ぞれぞれ減便となる。1日1往復の羽田-広州線は、31日まで運休。翌4月1日からは週2往復に減便して再開する。

 運休は14路線。1日2往復ずつ運航する羽田-上海、関西-上海の2路線と、いずれも1日1往復ずつ運航する成田-瀋陽と成田-北京、関西-北京、関西-大連、成田-青島、関西-青島、成田-武漢、成田-成都、羽田-上海(虹橋)、成田-杭州、関西-杭州、成田-広州の12路線が対象となる。

北米16路線

 北米路線は新路線を含め16路線運航する。このうち運休は3路線、減便は2路線で、5路線が通常運航となる。3月29日に就航する新規5路線のうち2路線は減便での開設となり、1路線は開設を延期した。

 新路線のうち減便して開設するのは、成田から移管する羽田-シアトル線と羽田-ワシントン線の2路線。いずれも1日1往復を週4往復ずつに減便する。羽田-ロサンゼルス線は3月29日から1日2往復に増便予定だったが、増便を4月25日に延期し、前日の24日までは従来どおりの1日1往復運航となる。

 また、3月29日に開設予定だった成田移管路線の羽田-サンノゼ線は、就航日が4月25日に延期となった。

 運休するのは、いずれも1日1往復ずつ運航する羽田-ニューヨーク線と羽田-シカゴ線、羽田-ホノルル線。このうちホノルル線は4月4日までは運航し、翌5日以降運休する。

 既存路線で減便となるのは、1日1往復ずつ運航する羽田-バンクーバー線と成田-メキシコシティ線。いずれも週4往復ずつに減便となる。

欧州9路線

 欧州は新路線を含め9路線運航。このうち減便は7路線、通常運航は1路線で、運休はない。

 4月20日に新設予定だった羽田-ミラノ線(週3往復)は延期し、開設日は未定となった。

 減便となるのは1日2往復の羽田-フランクフルト線が1往復に、1日1往復ずつ運航する羽田-ロンドン線と羽田-ミュンヘン線、羽田-ウィーン線は週4往復に、羽田-パリ線と成田-デュッセルドルフ線、成田-ブリュッセル線は週3往復に減便する。

東南アジア15路線

 東南アジアは、新路線を含め15路線運航。このうち運休は2路線、減便は5路線で、通常運航は6路線となる。3月29日に就航する新規2路線は、いずれも減便での開設となる。

 3月29日に開設する成田-ハノイ線と羽田-ホーチミン線は、いずれも1日1往復から減便して就航。ハノイ線は週3往復、ホーチミン線は週4往復で開始する。

 運休となるのは1日1往復の羽田-クアラルンプール線と、1日2往復の羽田-シンガポール線。シンガポール線のうち2便目のNH841/844便は、4月1日まで運航する。

 減便となる5路線のうち、1日3往復の羽田-バンコク線は4月1日以降2往復に減便。1日2往復の成田-バンコク線は4月1日以降1往復に減便となる。1日2往復の羽田-ジャカルタ線は、4月3日以降1往復に減便する。1日1往復ずつの成田-プノンペン線とヤンゴン線は、一部日程を運休する。

東アジア6路線

 中国本土以外の台湾と香港、韓国の東アジア路線は、6路線中4路線が運休となる。残り2路線が減便となり、通常運航はない。

 運休となるのは、1日1往復ずつ運航する羽田-香港と関西-香港、成田-台北(松山)の3路線。1日1往復の成田-香港線NH811/812便は3月29日から31日まで運休となるが、同期間は便名をNH1929/1930便とし、時刻も変更して運航する。

 減便は2路線で、1日2往復の羽田-台北(松山)線は1往復に間引く。1日3往復の羽田-ソウル(金浦)線は、3月31日までは政府の方針により韓国と中国からの到着空港が成田と関空のみに制限されていることから、29日から31日までは運休し、翌4月1日から1往復で再開する。

インド・豪州5路線

 インドは成田から移管する新路線含め3路線で、移管路線を除く2路線が運休となる。

 運休するのは1日1往復ずつ運航する成田-ムンバイ線と成田-チェンナイ線。移管路線の羽田-デリー線(1日1往復)は、当初の予定どおり3月29日に就航するものの、週3往復に減便して開始する。

 豪州は2路線で、既存の成田-パース線(1日1往復)は週3往復に減便。羽田-シドニー線は3月29日から1日2往復に増便予定だったが、増便を4月25日に延期し、前日の24日までは従来どおりの1日1往復運航となる。

関連リンク
新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際線路線・便数計画の一部変更について [1](全日本空輸)
全日本空輸 [2]

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