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三菱重工航空エンジン、ANAの787向けトレント1000中圧圧縮機モジュール初換装

 三菱重工業(7011)グループの三菱重工航空エンジン(MHIAEL)は9月12日、全日本空輸(ANA/NH)が運航するボーイング787型機に搭載しているロールス・ロイス製エンジン「トレント1000(Trent 1000)」の中圧圧縮機(IPC)モジュールの換装作業を受注し、11日に換装を終えたエンジンを初出荷したと発表した。

IPCモジュールを換装したトレント1000の初出荷を祝う三菱重工航空エンジンとANAの関係者ら(三菱重工のサイトから)

 換装作業は、三菱重工の協力企業である東明工業の知多工場と知多北工場で実施。ANAからトレント1000を受領後に分解し、既存のIPCモジュールを取り出して改修型のものに交換し、エンジンを再び組み立てて返送する。初出荷に先立つ10日には、現地で出荷式典を開いた。

 トレント1000のIPCモジュール換装は、2018年4月にFAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)がロールス・ロイスに対し、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を出したことによるもの。EASAのADによると、IPCのローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるという。

 787とトレント1000の最大顧客であるANAは、この整備作業の影響で多くの欠航が発生。欠航が生じた2018年7-9月期の減収は55億円にのぼった。11月にAviation Wireの単独インタビューに応じたロールス・ロイスのウォーレン・イーストCEO(最高経営責任者)は、「2020年の東京オリンピックを視野に、早い時期に終えることが重要」と、改修を急ぐ姿勢を示した。

関連リンク
三菱重工航空エンジン [1]
全日本空輸 [2]

ロールス・ロイス イーストCEOに聞く
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