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JACのATR72、鹿児島到着 日本初導入、12月就航

 日本エアコミューター(JAC/JC)が12月から運航する仏ATRのターボプロップ機ATR72-600型機の初号機(登録番号JA06JC)が11月7日、鹿児島空港へ到着した。日本の航空会社がATR72を導入するのは初めて。

鹿児島空港の駐機場へ進入するJACのATR72-600=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

 JACは9機発注済みのATR42-600(1クラス48席)のうち、今年6月に1機をATR72-600(1クラス70席)に変更すると発表。7日に到着したのはこの機体で、10月26日に仏トゥールーズで引き渡された。

 日本航空(JAL/JL、9201)グループで鹿児島空港を拠点とするJACは、2015年6月にATR42-600を発注。初号機(JA01JC)は2017年1月に受領し、これまでに5機が引き渡された。JACの特注仕様として、ストレッチャーを設置できるスペースを設けている。

 ATR72-600はATR42-600と比べて座席数が22席増えることから、観光やビジネス需要が見込める路線で、1座席あたりの運航コストを下げることができる。両機種はタイプレーティング(機種別操縦資格)が共通で、スペアパーツも90%は共有できるようになっている。客室乗務員は、50席あたり1人が乗務するよう定められていることから、2人乗務となる。

 JACの機材はATR72-600が到着したことで、退役済みの機体も含めて15機となった。このうち、3機あるボンバルディアQ400(DHC-8-Q400)型機(1クラス74席)は、11月30日で全機が退役。6機が残るサーブ340B(同36席)も、2019年度内の退役を予定しており、ATR機9機に統一する。

 ATR72-600は当初、11月3日に鹿児島へ到着予定だったが、ATRの工場があるトゥールーズを出発後、ギリシャで整備作業が生じたことから、4日遅れで到着した。現地時間10月30日にトゥールーズを出発した同機は、ギリシャのイラクリオン、UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ、インドのナグプール、ミャンマーのマンダレー、ベトナムのダナン、台湾の高雄を経て、鹿児島には7日午後4時10分ごろ到着した。駐機場では、横断幕を手にした社員が出迎えた。

 12月1日からは、鹿児島-屋久島線、沖永良部線、与論線の3路線で運航予定。初便は、1日午前7時25分に鹿児島を出発予定の沖永良部行きJC3801便となる見通し。

 ATRはエアバスと伊アレニア・アエルマッキの共同事業体として、1981年に設立されたリージョナル機メーカー。国内の航空会社では当初、2013年12月に自己破産した地域航空会社リンク(福岡県福岡市)が、日本初のATR機としてATR72-600を3機リース導入する予定だった。日本で初めてATR機を就航させたのは天草エアライン(AHX/MZ)で、2016年2月20日に運航開始。天草はATR42-600を1機しか保有していないことから、重整備による運休を回避できるよう、JACと機材を融通する協力体制を構築している。

ATR72運航スケジュール(12月1日から)
JC3801 鹿児島(07:25)→沖永良部(08:55)
JC3800 沖永良部(09:25)→鹿児島(10:45)
JC3823 鹿児島(11:20)→与論(12:55)
JC3824 与論(13:25)→鹿児島(14:50)
JC3759 鹿児島(16:45)→屋久島(17:25)
JC3758 屋久島(17:55)→鹿児島(18:30)

*写真は6枚。

鹿児島空港に着陸するJACのATR72-600=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

退役したQ400(左)とサーブ340B(右)が並ぶ鹿児島空港の駐機場へ向かうJACのATR72-600=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

鹿児島空港の駐機場へ向かうJACのATR72-600=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

鹿児島空港に到着したJACのATR72-600=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

横断幕を手に到着したばかりのATR72-600と記念撮影するJACの社員ら=18年11月7日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

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日本エアコミューター [1]
Avions De Transport Regional (ATR) [2]

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