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スカイマーク佐山会長、エアバス再導入に含み 「将来的に恩返し」

 スカイマーク(SKY/BC)の佐山展生会長は9月3日、2014年4月から2015年1月まで運航したA330-300型機を製造するエアバスに対し、「将来的に恩返ししたい」と述べ、エアバス機の再導入に含みを持たせた。

羽田で開かれた就航20周年イベントで今後の展望を語るスカイマークの佐山会長(左)と市江社長=18年9月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
「将来的には恩返し」
737 MAXより性能優位なA321neo
羽田に中型機視野

「将来的に恩返し」

 羽田空港の格納庫で、3日に約250人を招いて開いた就航20周年記念イベントで発言した。佐山会長は、3年前の2015年1月28日に同社が経営破綻したことに触れ、「社員は不安だったと思う。民事再生ってなんだろう、(自身が率いる投資ファンドの)インテグラルって何者だろうと思われていたので、全空港支店をまわって説明した」と、当時を振り返った。

羽田で開かれた就航20周年イベントで「星空ジェット」を披露するスカイマークの佐山会長(左)と市江社長=18年9月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スカイマークのA330(奥)と737=14年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「A330は搭乗率が目標に達しなかったので、(リース会社に)返却させていただいた。将来的に恩返しをしたい」と、エアバス機を再導入する可能性を示唆した。

 スカイマークは破綻当時、ボーイング737-800型機(1クラス177席)を27機、A330-300(同271席)を5機の計32機をリース導入していたが、A330は破綻直後の1月31日をもって全機の運航を停止。737-800に機材統一することで運航コストを抑え、2020年の再上場を目指して再建を進めてきた。

 先月8月15日には、経営破綻以来初めて受領した737-800の新造機(登録番号JA73AA)が就航。2017年に3機追加発注した737-800の1機目で、27機体制になった。残りの2機は、2019年5月に受領を予定しており、29機体制を構築する。

 3日のイベントでは、4日に就航する特別デカール機「星空ジェット」(737-800、登録番号JA73NQ)を披露。機体デザインを社内で募集し、社員による投票の結果、運航乗員部乗員課の副操縦士、橋本俊太郎さんの案が選ばれた。

737 MAXより性能優位なA321neo

パリ航空ショーで737 MAX 10のローンチを発表するボーイングのデニス・マレンバーグ会長、社長兼CEO(左)とケビン・マカリスター民間航空機部門社長兼CEO=17年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、737-800は2019年で生産が終了するため、スカイマークは年内の決定を視野に、後継機の選定を進めている。

 佐山会長は「後継機は今よりも大きくなる」と、200席以上の機材導入を示唆した。現行機の後継となる737 MAXファミリーのうち、メーカー標準座席数が200席以上のものは、LCC向けで胴体長が737 MAX 8(1クラス189席)と同じまま、座席数を増やした737 MAX 200(同210席)を除くと、737-900ERの後継機737 MAX 9(同220席)と、さらに胴体を長くした737 MAX 10(同230席)がある。エアバスは、A321neoの標準座席数を1クラス最大240席としている。

 市江正彦社長は「737 MAX 10と比べてエアバス(A321neo)は座席数を増やせて航続距離も長く、貨物のコンテナを積める」とAviation Wireの取材に応じ、性能面でA321neoが有利な点が多いとしながらも、現行機と同じボーイング機の方が、新機材導入のハードルが低い点を指摘。両社が今後スカイマークに対し、どのような導入サポートを提案するかがカギになるとみられる。

羽田に中型機視野

成田からサイパンやパラオへの国際チャーターを検討するスカイマーク=14年10月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、2019年5月以降の国際線開設を視野に、今年12月ごろからチャーター便の運航を始める予定。経営悪化により2014年10月に撤退した成田から、パラオ(コロール)やサイパンへ飛ばすことを検討している。

 いずれもデルタ航空(DAL/DL)が今年5月に撤退した路線で、現地政府からも要望が挙がっている。

 市江社長は3日、5年後のビジョンをイベントの参加者に説明。「機材は35、6機になるのではないか。現在、夜は沖縄くらいしか飛んでいないが、国際線も飛ばしたいし、羽田からは大きい飛行機を飛ばしたい」(市江社長)と述べ、夜間の国際線運航や、羽田への中型機再就航に意欲を見せた。

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