- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ANA、787欠航で50億円減収 18年上期見通し、通期は据え置き

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は7月31日、ボーイング787型機のエンジン整備に伴う欠航により、9月までの今年度上期は50億円の減収になるとの見通しを明らかにした。

787のエンジン整備に伴う欠航で50億円の減収が見込まれるANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAでは、787が使用しているロールス・ロイス(RR)製エンジン「トレント1000」の整備に伴い、7月6日から8月末までに国内線989便が欠航。約15万9000人に影響が出る見通し。1日当たりにすると、国内線17.5便が欠航し、約2800人に影響が生じている。

 9月から10月にかけては、1日当たりの欠航が国内線10便と国際線5便の合わせて15便程度に減少する見込みで、影響者数は国内線と国際線が約300人ずつの計600人程度となる見通し。8月までは欠航がなかった国際線は、1日に複数便を運航している路線を中心に、予約状況を見て運航便数を見直す。

 ANAHDの福澤一郎グループ経理・財務室長兼財務企画・IR部長は、「上期までの影響は50億円程度で、収入への影響は1%に満たない」と説明。メーカーのRRに対しては、「50億円を丸々請求するのではなく、コストとしての部品代などを整理し、年度内にRRに対して補償を求めていく」と述べた。

 また、10月28日からの冬ダイヤについては、「前年比で座席供給量を数パーセント落とすことで、欠航は出てこない。足もとが強く影響は軽微で、通期予想の見直しは一切考えていない」(福澤氏)という。

 31日に発表したANAHDの2018年4-6月期(19年3月期第1四半期)決算は、売上高が4848億円(前年同期比7.3%増)、営業利益は200億円(21.1%減)、経常利益は194億円(21.6%減)、純利益は161億円(68.5%減)だった。純利益が大幅に減少した要因は、前期はピーチ・アビエーション(APJ/MM)を連結子会社化したことによる特別利益などがあったためだという。通期予想は据え置きで、売上高が2018年3月期比3.5%増の2兆400億円、営業利益は0.3%増の1650億円、経常利益は1.6%減の1580億円、純利益は29.1%減の1020億円を見込む。

関連リンク
全日本空輸 [1]

ANA、国際線も欠航 9月から212便、787エンジン問題余波 [2](18年8月2日)
ANA、8月国内線378便欠航 787エンジン問題、臨時便226便 [3](18年7月17日)
ロールス・ロイスの787エンジン問題、改良型を年内提供へ [4](18年7月17日)
ANA、国内線330便追加欠航 787エンジン問題、繁忙期の予約一部制限 [5](18年7月12日)
ANA、国内線176便欠航 787エンジン問題、13日から22日まで [6](18年7月9日)
ANA、787エンジン問題で国内線113便欠航 2万人以上に影響 [7](18年7月5日)
RR製エンジンの787、ETOPS運航制限 ANAは影響軽微 [8](18年4月19日)
ANAの787エンジン不具合、ロールス・ロイスが改良型ブレード供給開始 [9](17年1月27日)
ANAの787エンジン問題、ロールス・ロイス社長「17年初頭に改良型」 [10](16年9月9日)
ANAの787エンジン、19年末までに改良型へ メキシコ用新型は計画通り [11](16年8月31日)
ANAの787「本当に大丈夫?」相次ぐトラブル、利用者から不安の声 [12](16年8月26日)
ANAの787、エンジン不具合で一部欠航 離陸直後にブレード破断 [13](16年8月25日)