高松空港が4月1日、民営化された。国管理空港では仙台に次ぐ第2号で、三菱地所（8802）などが設立したSPC（特別目的会社）の高松空港会社が運営する。複数LCCの拠点化を目標に掲げ、2016年度の旅客数188万人を、5年後の2022年度は1.4倍の260万人を目指す。
民間運営開始記念式典でテープカットする高松空港会社の渡部社長ら＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
—記事の概要—
・現在は国際線4社
・32年に307万人達成へ
現在は国際線4社
国と空港会社との契約期間は、2032年9月30日までの15年間。オプションによる延長は35年以内、不可抗力などによる延長は5年以内となっており、最長55年間となる。空港会社は、滑走路やターミナルビル、貨物ビル、駐車場などを一体的に運営する。
初便の乗客に記念品を手渡す高松空港会社の渡部社長（左）ら＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
民間運営開始記念式典で祝辞を述べる石井啓一国交相＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
資本金は82億7700万円。株主は三菱地所のほか、大成建設（1801）、パシフィックコンサルタンツ（東京・神田）、高松市の高松シンボルタワーを運営するシンボルタワー開発（高松市）、香川県、高松市となっている。
高松空港は旧空港が1958年に供用開始し、滑走路は1200メートルだった。1989年12月16日には、現在の場所に移転。滑走路は2500メートルが1本で、ターミナルビルも同年開業した。運用時間は午前7時から午後10時まで。
3月25日開始の夏ダイヤでは、国内線は日本航空（JAL/JL、9201）が羽田便を1日7往復、全日本空輸（ANA/NH）が羽田便を1日6往復、那覇便を1日1往復、ジェットスター・ジャパン（JJP/GK）が成田便を1日2往復運航している。
国際線は4社が就航。台湾のチャイナエアライン（中華航空、CAL/CI）が台北（桃園）便を週6往復、春秋航空（CQH/9C）が上海（浦東）便を週5往復、アシアナ航空（AAR/OZ）傘下のLCCエアソウル（ASV/RS）がソウル（仁川）便を週5往復、香港エクスプレス航空（HKE/UO）が香港便を週4往復運航している。
32年に307万人達成へ
空港会社によると、利用者数は2011年度に131万9230人まで落ち込んだが、その後は5年連続で過去最高を更新。2016年度は188万3793人となった。内訳は、国内線が165万3818人、国際線が22万9975人だった。
パートナーシップ協定に調印した香川県の浜田知事（左）と高松空港会社の渡部社長＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
計画によると、国内線は既存の羽田路線の機材大型化や、LCCの拠点となる札幌や中部、福岡などへの新規路線などをターゲットとする。国際線は、台北や上海など既存路線のデイリー（1日1往復）化のほか、タイやシンガポールなど東南アジアへの直行便などで旅客数拡大を図るとしている。
初年度の2018年度は、旅客数216万人とし、国内線186万人と国際線30万人を目標に掲げる。国内線出発ラウンジの改修や、免税売店の拡張、駐車場の利便性向上など、空港の活性化に向けて約8億3000万円を投資する。
LCC拠点化に向け、5年間で総額57億円の設備投資を計画。5年後の2022年度の利用者数は260万人（国内209万人、国際51万人）で、15年後の2032年は307万人（国内225万人、国際82万人）を目指す。空港会社は、「アジア・世界とつながる、四国瀬戸内No.1の国際空港」をテーマに掲げる。
空港会社の渡部哲也社長は、「既存エアラインとのパイプを太くして旅客数を増やし、LCCを中心に新規路線を増やしたい。それに対応して、ターミナルのリニューアルや増築、駐車場拡大を継続して行う。今年度できることはすみやかにやっていきたい」と抱負を述べた。
また、高松市内で開かれたレセプションでは、香川県の浜田恵造知事と空港会社の渡部社長がパートナーシップ協定に調印した。
＊写真は8枚。
民営化初日を迎えた高松空港＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
民営化初日を迎えた高松空港＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
民営化された高松空港のロゴ＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
高松市内で開かれた高松空港民営化を祝うレセプション＝18年4月1日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire
関連リンク
高松空港 [1]
高松空港特定運営事業 [2]（国交省）
三菱地所 [3]
大成建設 [4]
パシフィックコンサルタンツ [5]
高松シンボルタワー [6]
高松空港
・国交省、高松空港の運営権設定 三菱地所ら、民営化へ運営会社設立 [7]（17年10月3日）
・国交省、高松空港の評価公表 6団体参加、「計画」と「方針」審査 [8]（17年8月16日）
・高松空港の民営化、三菱地所連合が基本協定締結 [9]（17年8月14日）
・高松空港の運営権、三菱地所連合に優先交渉権 [10]（17年7月27日）
・高松空港、民営化の募集要項策定 15日に説明会 [11]（16年9月7日）
・高松空港、18年4月民営化 運営会社17年8月選定 [12]（16年7月12日）
・高松空港、9月に募集要項 18年4月の民営化で [13]（16年4月27日）
・高松空港、18年4月に民営化へ 27日まで市場調査 [14]（15年11月3日）
神戸も4月民営化
・神戸空港が民営化 関空、伊丹と一体運営 [15]（18年4月1日）
仙台が国管理空港第1号
・仙台空港、民営化1周年 岩井社長「闇鍋が少し見えるようになる」 [16]（17年7月3日）
関空民営化は16年4月
・関空と伊丹民営化 関西エアポート始動「特徴違う空港2つある」 [17]（16年4月4日）
・オリックス・ヴァンシ連合、新関空会社と運営権契約 関空・伊丹民営化 [18]（15年12月15日）
民営化の問題点
・空港民営化でサービス低下の皮肉 [19]（日経ビジネスオンライン連載、17年8月31日）