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アエロフロート・ロシア航空の歴代制服 特集・モスクワ-東京就航50周年

 アエロフロート・ロシア航空(AFL/SU)のモスクワ-東京線が、4月に定期便就航50周年を迎えた。

 日ソ両国間で、直行便開設の合意がなされたのは1966年1月21日。従来の北極上空を通過するルートよりも、2500キロ短いシベリア上空を飛行することで、アジアと欧州を結ぶ最短航路が実現した。シベリアルートは時間短縮や使用燃料を減らすだけではなく、緊急着陸できる空港を確保できることで、氷が覆う北極洋上のルートよりも、安全性が高まった。

 ロシア最大の航空会社であるアエロフロートは1967年4月17日、ツポレフTu-114型機でモスクワ-羽田線を直行便で開設。羽田着は翌18日だった。Tu-114はターボプロップ(プロペラ)の4発機で、当時は世界最大の旅客機だった。

歴代制服を着用したアエロフロート・ロシア航空の客室乗務員=17年4月17日、同社提供

 現在アエロフロートは、モスクワ-成田線を1日1往復運航。機材はエアバスA330-300型機で、座席数は2クラス296席(ビジネス28席、エコノミー268席)または2クラス302席(ビジネス34席、エコノミー268席)となっている。

 4月に都内で開かれた記念イベントでは、モスクワ-東京線にまつわるアエロフロートの客室乗務員用歴代制服が披露された。アエロフロートの日本支社によると、こうしたイベントで歴代制服を扱うのは、日本では今回が初めてだったという。

—記事の概要—
就航当時の制服は1962年着用開始
ミニのワンピースも
愛称は「クリスチャン・ディオール」
現行は2010年から

就航当時の制服は1962年着用開始

アエロフロート・ロシア航空の東京線開設時に着用された制服(左)と1971年着用開始の制服=17年4月17日、同社提供

 東京線開設時に着用された制服は、1962年着用開始。東京線就航当初は、日本航空(JAL/JL、9201)との共同運航だった。しかし1970年以降、ソビエト政府が外国籍の航空会社によるトランスシベリアルート飛行を許可したことから、両社はそれぞれモスクワ-東京間の自社運航を始めた。

 1971年着用開始の鮮やかなピンク色の制服には、フレンチ・スタイルのジャケットを採用し、スタンドカラーのシャツを合わせ、フエルトの帽子、靴と手袋でトータルコーディネートしていた。

 このころから航空機の機内設備の開発が進み、機内食でホットミール(温かいメニュー)が提供されるようになった。

ミニのワンピースも

1971年着用開始のワンピース(左)と1975年に着用を開始したアエロフロート・ロシア航空の制服=17年4月17日、同社提供

 暑い国へのフライトのため、1971年からミニワンピースを用意。半そで、ひざ上丈のミニワンピースに、ハイヒールを合わせた。当時は同じデザインで、スカイブルーのワンピースも用意されていた。

 1975年着用開始の制服は、国際線フライトのために準備された濃紺のもので、白いハイネックのインナーに、アエロフロートのエンブレムをあしらった。また、ボタンにもアエロフロートのエンブレムを刻印している。

 この当時は、1974年に燃費効率の高いイリューシンIl-62M型機の運航が始まり、東京路線にも導入。従来のIl-62はノボシビルスクで給油が必要だったが、Il-62Mの登場でモスクワ-東京間のノンストップ飛行が可能になった。

愛称は「クリスチャン・ディオール」

1980年着用開始の制服(左)と1986年に着用を開始したアエロフロート・ロシア航空の制服=17年4月17日、同社提供

 アエロフロートのイメージを一新する制服として1980年に登場したものは、グレーの生地にネイビーのチェックをプリントし、揃いの生地でウエストをシェイプしたベストを合わせた。

 客室乗務員の間では非常に人気が高く、「クリスチャン・ディオール」の愛称で親しまれたという。1980年はモスクワで第22回夏季オリンピックが開催され、アエロフロートは公式キャリアに選ばれた。

 1980年代、アエロフロートの制服は7回変更された。薄いブルーに、アクセントの白い襟が印象深い制服は1986年以降、夏の間だけ着用された。1980年代、アエロフロートは世界の全大陸に就航し、年間1億2000万人を運んだ。この記録はギネスブックに認定され、現在に至るまで破られていない。

現行は2010年から

2004年着用開始の制服(左)と2010年に着用を開始した現行アエロフロート・ロシア航空の制服=17年4月17日、同社提供(左)、PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2004年着用開始となった制服のデザイナーは、ヴィクトリア・アンドリアノヴァ。ロシアのホスピタリティ、おもてなし、誠実さを表現し、アエロフロートの伝統を受け継ぐネイビー、空の色を連想させるシルバーグレー、日の出、夕暮れのイメージであるオレンジ色を採用した。

 シャツは3種類、スカーフは2種類用意され、さまざまな組み合わせが楽しめるだけでなく、機能的なシルエットで、体型を問わない優れた着心地を実現した。

 2006年4月14日には航空連合の「スカイチーム」に加盟。ロシアの航空会社では初めてアライアンスに参加した。

 現在の制服は2010年着用開始。デザイナーはユリヤ・ブナコヴァとエヴゲーニー・ホフロフで、夏はレッド・マンダリン、冬はネイビーの制服を着用している。さまざまな賞を受賞しており、世界の航空会社の中で最もエレガントな制服のひとつとして評価を得ているという。

現行制服を着用し、都内で開かれた就航50周年記念イベントで壇上に並ぶアエロフロート・ロシア航空の客室乗務員=17年4月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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【お知らせ】
アエロフロート・ロシア航空より、2000年以前のデザイナー名は記述を削除したいとの申し入れがあったため、当該箇所を修正しました。(17年5月10日 18:24 JST)