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MRJ、全機静強度試験を完了

 三菱航空機は11月30日、開発中のリージョナルジェット機「MRJ」の全機静強度試験が完了したことを明らかにした。

MRJの全機静強度試験で荷重負荷後の様子(三菱航空機提供)

 全機静強度試験は、設計製造された機体の強度が、安全に飛行させるために必要な基準を満たしていることを検証し、評価するために実施する機体構造試験のひとつ。同社によると、今月1日に完了したという。

 試験は実物大の静強度試験機を使い、2014年10月に開始。あらゆる飛行条件下で想定される最大荷重を機体全体や部分的にかけ、安全な運用を妨げる変形がないことや、機体にかかる最大荷重の1.5倍の負荷に一定時間耐えられることなど、数十にわたる内容を確認した。

 全機静強度試験で必要なデータの取得に成功したことで、今後は米国の飛行試験拠点である、米ワシントン州モーゼスレイクにあるグラント・カウンティ国際空港での飛行試験の動向が、量産初号機の納入に向けて鍵を握る。

 今月18日に飛行試験4号機(登録番号JA24MJ)がグラント・カウンティ空港に到着。三菱航空機では、5機ある飛行試験機のうち、4機を年内に米国へ持ち込む計画で、4号機が到着したことで、米国での飛行試験は2機体制へ移行した。

 飛行試験機は、22日に3号機(JA23MJ)が初飛行しており、残るはローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)の塗装を施した5号機(JA25MJ)のみとなった。

 三菱航空機は、国内で飛行試験を実施する5号機と合わせ、2018年ごろまで飛行試験を実施。2018年前半には機体の安全性を証明する、国土交通省航空局(JCAB)の型式証明を取得する。ANAを傘下に持つANAホールディングス(9202)への量産初号機引き渡しは、2018年中ごろを計画しているが、試験の進捗によっては、1年程度の遅れが生じる可能性もある。

MRJの全機静強度試験で荷重負荷前の様子(三菱航空機提供)

試験架構に地上から1.5mの高さに設置された静強度試験機=14年8月3日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

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