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スカイマーク支援に疑問も ANAホールディングス株主総会

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に置くANAホールディングス(9202)は6月29日、都内で第70回定時株主総会を開いた。4月に就任した片野坂真哉社長を議長とし、配当や取締役の選任など、5つの議案すべてを可決して閉会した。

グランドプリンスホテル新高輪で開かれたANAホールディングスの株主総会=6月29日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 株主からは、スカイマーク(SKY/BC)の再生支援について、「なぜ首を突っ込んでいくのか」と、現状説明を求める質問が出た。

 担当する上席執行役員の長峯豊之グループ経営戦略室長は、「SKYとコードシェアするのは、販売路線拡大やネットワーク拡充が見込め、競合他社より優位になるため」と説明。「コードシェアはエア・ドゥ(ADO/HD)やスカイネットアジア航空(ソラシド エア、SNJ/LQ)などで実施しているが、提携航空会社の収入を下支えしており、双方がWin-Winになる」と述べ、「再生支援への参画はANAグループの成長、株主の利益につながると判断した」と、理解を求めた。

 SKYの経営再建後については、「将来的にSKYは独立経営する。提携を通じて友好な競争関係にありたい」と述べた。8月5日に開かれる債権者集会で、SKYのほかに大口債権者である米国の航空機リース会社、イントレピッド・アビエーションの再生計画案の2案が付議されることについては、「われわれの再生計画案が賛成可決されるよう、精一杯努力したい」と語った。

 また、今年1月にSKYが破綻後、ANAHDとしては法的整理を念頭に置いていたが、長峯室長は「SKYのトップは私的整理にこだわった」と明かし、「法的整理の支援要請はなかった」と述べた。

 別の株主からは、増資の可能性や成長戦略について質問があった。片野坂社長は「増資の計画はない」と回答。今後の成長戦略については、「安全を堅持して、業績向上に取り組みたい」と語った。

 取締役は社外取締役3人を含む再任候補の8人全員が選任され、上席執行役員の長峯氏と平子裕志氏を取締役に新任した。監査役は常勤監査役の井上伸一氏が退任し、元ANAHD専務の丸山芳範氏を選任。1人を再任した。配当金は普通株式1株4円で、配当総額は140億4597万6908円となった。

 入場者数は3344人で、昨年の3317人よりも微増。所要時間は1時間53分(昨年は2時間12分)だった。質問者は10人で、退場処分となった株主はゼロだった。

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ANAホールディングス [1]
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