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MRJ改造の騒音実験機、17年目処に導入へ JAXA航空シンポジウム技術講演(3)

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)が9月18日に開催した、航空科学技術と国際競争力の強化をテーマにした発表会「JAXA航空シンポジウム2014」。午後の技術講演では航空本部のグループ長などが、実行中の取り組みや今後の展望などを発表した。

登壇したFQUROHプリプロジェクトチーム長の山本氏=9月18日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 FQUROHプリプロジェクトチーム長の山本一臣氏は「機体騒音低減技術の飛行実証(FQUROH)」について発表。課題となっている機体の低騒音化への研究や飛行実証計画を紹介した。

 JAXAではこのプロジェクトを英訳の頭文字などを組み合わせて「FQUROH(フクロウ)」と命名。静かに飛び立つ鳥のフクロウにちなんだ。

 これまで機体騒音の予測は経験則に依存していたが、技術発展により詳細なメカニズムの把握が可能になり始めている。それを踏まえ、空力騒音の数値解析記述を用いた低騒音化設計を実験機に適用、開発を進めていきたいとしている。

 適用する実験機は、2017年を目処に三菱航空機が現在開発中のリージョナルジェット機「MRJ」を改造して導入、2018年末から2019年中ごろに実証実験を実施する。それまでは現在の米国製小型旅客機「セスナ サイテーション ソブリン」を改造した実験機「飛翔」で実施する。

 プロジェクトにはJAXA航空本部のほか、三菱航空機、川崎重工業(7012)航空宇宙カンパニー、住友精密工業(6355)が参画。このほか、大学や海外の研究機関と連携し、プロジェクト成果の高度化を図る。

 1960年代から比較すると、機体が発する騒音は大幅に低下しているものの、離発着回数も増加。今後20年間で2.6倍増が予想される離発着回数による騒音被害をどのように抑えるかを研究する。

 騒音の多くは機体が発する風切り音。20年前と比較するとエンジンの騒音は低下しているものの、機体の騒音は92から100デシベルでほとんど減っておらず、機体の騒音低下が課題となっている。

関連リンク
JAXA航空本部 [1]
三菱航空機 [2]
川崎重工業航空宇宙カンパニー [3]
住友精密工業 [4]

JAXA航空シンポジウム技術講演
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