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伊丹空港「午後9時」門限どう守る? 遅延便2年で24%増、事前調整を強化

 伊丹空港で午後9時を超える遅延便が増えていることから、国土交通省航空局(JCAB)や関西3空港を運営する関西エアポート(KAP)、航空会社など運航にかかわる関係者は、午後9時までという運用時間を守るため、具体的な運航上の取り決めを7月から運用している。到着見込みや出発準備の時刻を目安に事前調整を強めるもので、結果として従来より厳しい運用になる一方、一律に離着陸を禁止するものではなく、事情に応じて弾力的に運用していく。

伊丹空港=25年8月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 伊丹の運用時間は午前7時から午後9時までの14時間で、やむを得ない理由がある場合は午後9時以降も離着陸を例外的に認めている。遅延便は午後9時を超えて離着陸した便を指し、2023年度の116便から2024年度は133便、2025年度は144便と2年連続で増えており、2年間で24%にも及ぶ増加となった。伊丹の悪天候のほか、羽田空港の混雑などによる出発遅れが夜の伊丹行きに波及するケースもあり、周辺地域との関係を維持する上でも、遅延便をどう減らすかが課題になっている。

—記事の概要—
午後9時超過を未然に減らす
「罰金」とは別の立て付け
1000キロルールは撤廃

午後9時超過を未然に減らす

 今回の取り決めでは、伊丹へ向かう便は、出発空港を離陸した時点で到着予定時刻が午後9時以降になる場合、伊丹発便は航空機のドアを閉める時刻が午後8時45分を過ぎる場合を目安に、関係者が連絡を取り合い、午後9時を超える運航を避けるよう調整する。

運用時間の厳守が課題の伊丹空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 しかし、これらの条件を必ずしも厳格に適用するわけではない。今回の取り決めは、KAPが航空会社に課した規則ではなく、航空局やKAP、航空会社など運航にかかわる関係者間で定めたもの。午後9時までという運用時間を守るため、具体的な対応を明文化したもので、実際の運航では状況に応じて弾力的に対応する。

 7月からは該当する事例が生じた場合、この取り決めに沿って対応している。KAPによると、遅延には複数の要因が絡むことが多く、現時点で最初に取り決めが適用された便までは特定していない。

 一方、利用者の視点で見ると、これまでなら遅れても伊丹へ向かっていた便が、今後は出発できなかったり、到着地を変更したりする可能性は高まる。

「罰金」とは別の立て付け

 今回の取り決めと性格が異なるのが、KAPが2025年4月1日に導入した「夜間騒音抑制料」だ。午後9時以降に離着陸する遅延便を対象に、出発便と到着便とも通常の着陸料の2倍にあたる金額を着陸料とは別に徴収し、抑制料を空港周辺地域の生活環境改善に充てている。

 夜間騒音抑制料はKAPが定めた細則に基づく明確な制度で、午後9時を超えた後に金銭的なペナルティーを課す。

 一方、今回の取り決めは遅延便が増える中、午後9時を超える便を減らすため、関係者間で事前に調整し、具体的な判断の目安を明文化したものになる。

1000キロルールは撤廃

 伊丹では、こうした運用上の取り決めや制限について、空港を取り巻く状況に応じて見直しを続けている。最近の事例では、関西空港が1994年に開港する際に設けられた、伊丹発着便の「1000キロルール」撤廃がある。

伊丹空港へ着陸時は市街地上空を通過していく=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 関空開港前の1993年11月に、当時の運輸省航空局は伊丹と関空の機能分担について、概ね1000キロ以上の長距離路線は基本的に関空発着とする方針を示した。この1000キロルールが今回撤廃され、10月25日開始の冬ダイヤから伊丹発着の長距離路線が増える。

 日本航空(JAL/JL、9201)を中核とするJALグループは、冬ダイヤで伊丹-帯広線を新設するほか、これまで夏季のみだった旭川・女満別の2路線も運航。全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループも、伊丹-札幌(新千歳)・函館・那覇線を増便する。

 午後9時までという原則を守るための運航調整を強める一方、長距離路線では従来の制約を見直すなど、伊丹を取り巻く運用は変化している。

関連リンク
遅延便発生状況の公開 [1]
大阪国際空港における夜間騒音抑制に関する細則 [2](PDF)
大阪国際空港 [3]

騒音抑制料
伊丹空港、遅延便に騒音抑制料 4月から着陸料の2倍 [4](25年3月25日)

伊丹発着便
JAL国内線、伊丹路線を強化 帯広新設、JTAが19年ぶり再就航=26年度下期計画 [5](26年8月18日)
ANA国内線、伊丹再編 羽田減便、札幌・函館・那覇を増便=26年度下期計画 [6](26年8月18日)