英国防省は、日英伊3カ国が共同開発する次世代ステルス戦闘機プロジェクト「GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)」で、3カ国政府の機関「GCAPエージェンシー(GCAP Agency)」が、機体設計・開発を担う3カ国の合弁会社「エッジウィング(Edgewing)」に46億ポンド(約9900億円)の契約を発注したと現地時間7月3日に発表した。3カ国が共同で資金を拠出する18カ月契約で、2035年の就役を目指すGCAPの設計開発を次段階へ進める。

ファンボロー航空ショーでお披露目され空自向けデザインが投影されたGCAPの新モックアップ=24年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
今回の契約により、GCAPの先進コンセプト・評価段階を完了させ、機体の主要要求を策定する。試験を進めるほか、日英伊が共同で詳細設計・開発に取り組む。英国防省は、デジタルエンジニアリングやAI(人工知能)などの先端技術を活用するとしている。
GCAPエージェンシーが、エッジウィングに発注した国際共同契約は2件目。1件目は今年4月に締結した6億8600万ポンド(約1470億円)の契約で、主要な設計・エンジニアリング作業を進めるとともに、3カ国が個別契約で実施してきた作業を国際共同事業へ移行した。
エッジウィングは、英BAEシステムズ、伊レオナルド、日本航空機産業振興(JAIEC)の3者が共同で設立したジョイントベンチャー(JV)。GCAPの機体設計・開発を担う主契約企業で、運用期間を通じて設計責任を担う。GCAPを監督する政府間組織「GIGO(GCAP International Government Organisation)」との連携体制を築く。

GCAPで開発する次期戦闘機のイメージ(レオナルド提供)

GCAP向け新型エンジンの開発を加速するロールス・ロイス、アヴィオエアロ、IHI(ロールス・ロイスのサイトから)
GCAPでは、エッジウィングのほか、センサーや通信分野を担うコンソーシアム「GCAP Electronics Evolution(G2E)」と、動力・推進系の国際共同組織も、開発を支える。G2Eには英レオナルドUK、伊レオナルド、伊ELTグループ、三菱電機(6503)が参画し、ミッションアビオニクス「ISANKE & ICS(統合センサー・非運動効果および通信システム)」を担う。動力・推進系には英ロールス・ロイス、伊アヴィオエアロ、IHI(7013)が参画し、機体の推進力と機内システム向け電力を供給する。
英国政府は今回の契約に先立ち、防衛投資計画で2026年度から2029年度までの4年間にGCAPへ86億ポンド(約1兆8500億円)を投じる方針を示した。今回の46億ポンドは、日英伊3カ国が共同で負担する契約総額で、86億ポンドは英国が今後4年間にGCAPへ投じる額として示した。
関連リンク
Edgewing [1]
BAE Systems [2]
Leonardo [3]
三菱重工業 [4]
Team Tempest [5](Royal Air Force)
進捗
・次期戦闘機エンジン、日英伊3社が国際共同開発の体制強化=GCAP [6](25年9月10日)
・次期戦闘機、電子装備開発で日英伊4社連合「G2E」発足 センサーや通信=GCAP [7](25年9月11日)
有人実証機
・英BAE、次期戦闘機の有人実証機デザイン公開 28年初飛行へ [8](25年7月17日)
エッジウィング設立
・日英伊、次期戦闘機開発で合弁会社「エッジウィング」設立 2035年就役へ [9](25年6月21日)
ファンボロー航空ショーで新モック
・日の丸入りも披露 日英伊の次期戦闘機、ファンボローで新モックアップお披露目「2025年は非常に重要な節目」 [10](24年7月28日)
共同開発発表
・次期戦闘機、日英伊3カ国共同開発 F-2後継35年配備へ、米とは無人機開発 [11](22年12月9日)
・IHI、次期戦闘機のエンジン参画 日英伊が共同開発 [12](22年12月10日)