国土交通省航空局(JCAB)は、国の航空大学校(航大)にヘリコプター操縦士の養成コースを新設し、2028年度末をめどに運用を始める方針を6月19日に発表した。すでにパイロット(操縦士)の免許を持つ若手を対象に、基礎技術の習得や飛行経験の蓄積を支援し、ドクターヘリや消防防災ヘリなどのパイロット不足に対応する。

国交省は航空大学校にヘリコプター操縦士の養成コースを新設する(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・宮崎空港を想定
・若手が経験積む機会減少
宮崎空港を想定
機材や施設の整備、訓練カリキュラムの検討、教官の確保などの準備を今月から進める。訓練拠点は、航空大学校の既存施設を活用できる宮崎空港を想定し、ヘリコプターの実機とシミュレーターを使用する。機材や施設の整備には、日本財団の助成を活用する。

航空大学校によるヘリ操縦士養成イメージ(航空局の資料から)

ヘリ操縦士全体の年齢分布(航空局の資料から)
小型機事業者や地方自治体、海上保安庁、警察などの運航者が航空大学校へ訓練を委託し、基礎技術の取得や飛行経験の蓄積を進める運用を想定している。
ドクターヘリや消防防災ヘリは、高度な技術と適確な判断力が必要なため、パイロットに1000時間以上の飛行経歴を求めている。一方でパイロットの高齢化が進み、50歳以上の割合はヘリ操縦士全体で約50%、ドクターヘリで約71%、消防防災ヘリで約65%に達している。
航空局は、ドクターヘリでは2030年以降、年間10人以上のパイロットが不足するおそれがあるとみている。公共用ヘリのパイロットは、消防防災ヘリが約380人、警察が約250人、ドクターヘリが約200人、海上保安庁が約170人で、全体では約1000人となっている。
若手が経験積む機会減少
若手パイロットが飛行経験を積んできた農薬散布などの業務は、ドローンの普及で大幅に減少した。農薬散布などの飛行時間は2000年の約6万時間から2024年には約2万2000時間へ約6割減った一方、ドクターヘリなどは約1万4000時間から約1万8000時間へ約3割増えた。

ヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議によるとりまとめ概要(航空局の資料から)
飛行経験を積む機会が減ったことで、養成のみを目的とする飛行が必要になり、ヘリを運航する事業者の負担が増している。航空局によると、養成飛行は1時間当たり約30万円かかるという。
一連の対策は、国交省、海上保安庁、厚生労働省、消防庁、警察庁、防衛省で構成する関係省庁連絡会議が取りまとめた。航空局は航空大学校の活用に加え、運航者の養成費用に対する公的支援や、シミュレーター訓練を飛行経験に含めるなどの要件見直しを今年度をめどに検討する。なり手を確保するため、官民による広報協議体を同年度に設置し、固定翼などを参考にした奨学金制度の創設も検討する。
関連リンク
国土交通省 [1]
航空大学校
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