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ANA・JALサーチャージなぜ急騰? 5-6月分から、ケロシン高騰で月300億円増も

 全日本空輸(ANA/NH)と日本航空(JAL/JL、9201)の大手2社が4月20日、5-6月発券分の国際線燃油サーチャージを大幅に引き上げると発表した。往復では、ANAが欧米11万2000円、ハワイ7万3600円、JALは欧米11万2000円、ハワイ6万9400円と、前回発表と比べ2倍近くなる。単なる値上げではなく、適用開始時期の前倒しや適用ゾーン上限の引き上げも伴っており、背景には原油以上のペースで進む航空燃料の高騰がある。

サーチャージが急騰したANAとJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 適用開始時期の前倒しにより、2-3月の市況平均は従来であれば6-7月発券分から反映されるはずだったが、今回は1カ月前倒しし、5-6月発券分から新制度を適用した。

 JALによると、旅客サーチャージはシンガポールケロシン市況と為替の平均を基に決めている。従来は、直近2カ月平均で見直した額を翌々月発券分から適用していたが、今回は翌月発券分からに変更した。

 2-3月の平均では、円換算したシンガポールケロシン市況が2万3076円となり、従来の上限「ゾーンO(2万円基準)」を超えた。このため、新たに「ゾーンPからR」を追加した。一方で、政府の緊急的激変緩和措置による補助の効果を反映し、5-6月発券分は本来のゾーンRではなく、1段階下の「ゾーンQ(2万2000円基準)」を適用した。

ANAの5-6月発券分サーチャージ(同社資料から)

JALの5-6月発券分サーチャージ(同社資料から)

 今回の急騰要因は、原油よりも航空燃料のケロシンが強く上がっていることだ。JALの説明では、ガソリン価格に連動するドバイ原油が2月平均比で3月末に1.8倍となったのに対し、ケロシンは2.5倍に急騰した。ケロシンは原油より保管が難しく備蓄が少ないため、有事には需給が逼迫(ひっぱく)しやすい。加えて、国によっては原油ではなく精製後のケロシンを直接調達していることも、高騰に拍車をかけているという。

 財務への影響も大きい。JALは、現在の燃油・為替市況が続けば、燃油費が計画対比で1カ月あたり約300億円増える見込みを示した。計画段階では月300億円から350億円程度を想定していたことから、ほぼ倍増に近い水準だ。社内の費用削減や政府補助を踏まえても、増加分をすべて吸収するのは難しく、ネットワーク維持のためには利用者にも段階的な負担を求めざるを得ないというのがJALの説明だ。

 その一方で、JALはサーチャージを際限なく引き上げる考えでもないという。今回、上限を「ゾーンR」までにとどめた理由について、負担が急増すれば旅行需要が冷え込む懸念があると説明した。実際、今回の「ゾーンQ」適用額でも、東アジアの一部路線では過去最高額となるが、全路線での最高額ではなく、他地域では2022年10-11月発券分のほうが高かった。JALは、7月以降発券分については6月に改めて案内するとしている。

 減便や機材変更については、現時点で具体的な検討はしていないものの、情勢が長期化した場合、選択肢として検討せざるを得ない可能性も否定していない。サーチャージの急騰は、利用者負担の問題にとどまらず、航空会社のネットワーク維持そのものに影を落とし始めている。

関連リンク
燃油特別付加運賃 / 航空保険特別料金について [1](ANA)
全日本空輸 [2]
国際線「燃油特別付加運賃」 [3](JAL)
日本航空 [4]

5-6月分
JAL、5-6月サーチャージ1.9倍に 欧米往復11.2万円、ハワイ6.9万円に高騰 [5](26年4月20日)
ANA、5-6月分サーチャージ急騰1.8倍 欧米往復11.2万円 [6](26年4月20日)

サーチャージ問題
航空燃料高騰、1カ月で約2.5倍に 定航協「ヘッジに限界」長期化で航空網への影響も [7](26年4月3日)
JAL鳥取社長「約300億円の費用増」燃油高騰でサーチャージ引上検討
(26年4月3日)
JAL、国内線サーチャージ検討 27年4月視野、FDAに続き2社目 [8](26年3月3日)

4-5月分
ANA、4-5月分サーチャージ据え置き 欧米往復6.3万円、ハワイ4万円 [9](26年3月13日)
JAL、4-5月サーチャージ一部引き下げ ハワイ往復3.5万円に、欧米据え置き [10](26年2月20日)