エンブラエルは現地時間11月14日、空中給油・輸送機KC-390「ミレニアム」によるグリペンE戦闘機への空中給油の認証飛行試験を、サーブとブラジル空軍(FAB)の3者共同で実施したと発表した。

グリペンEに空中給油するKC-390(エンブラエル提供)
試験はサンパウロ州ガビオンペイショットのエンブラエル施設で実施。グリペン飛行試験センターを拠点に、FAB航空宇宙科学技術局(DCTA)が統括した。サーブ、エンブラエル、FABのエンジニアとテストパイロットが参加し、多様な飛行内容・速度・高度による空中給油を評価した。
今回の試験では、2つの目的を掲げた。グリペンEを受油機として認証し、給油中の性能・安定性・構造強度を確認。2つ目として、KC-390の全飛行領域での互換性を検証し、昼夜の高速給油を含むすべての運用条件での適合性を確認した。
今後は、スウェーデンの軍用航空認証機関(SE-MAA)が、グリペンEの空中給油能力に関する検証結果を審査。これに基づき、ブラジル空軍の工業振興調整研究所(IFI)が正式な認証を進める。両機関は国際基準に基づき、技術的な分析と妥当性の検証を担う。
この飛行試験は、FABによって「オペレーション・サマウマ」と命名され、約40人の軍関係者が参加。空中給油システムを自国技術で開発・試験・認証できる国として、ブラジルの地位を示す取り組みとなった。

給油認証試験を実施したKC-390とグリペンE(エンブラエル提供)

グリペンEに空中給油するKC-390(エンブラエル提供)
関連リンク
Embraer Defense & Security [1]
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