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エアバス、ベルーガ4号機が退役 27年で

 エアバスは現地時間9月19日、大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」の4号機(登録記号F-GSTD)を退役させたことを明らかにした。「新たな居場所と使命が待っている」とコメントしており、機体を保存するとみられる。

ラストフライトを終えトゥールーズへ着陸するベルーガSTの4号機(エアバスのサイトから)

 ベルーガはシロイルカを意味する愛称で、ユーモラスな外観のベルーガSTは中型旅客機A300-600Rを基に開発され、エンジンは米GE製CF6-80C2を採用。5機製造され、1996年1月に就航した。4号機は27年前の1998年12月に引き渡された。ラストフライトは17日で、エアバスの最終組立工場がある仏トゥールーズを午後1時17分すぎに離陸し、30分ほど飛行してトゥールーズへ戻り、運航を終えた。

 エアバスが1970年代からパーツ輸送に使用してきた、ボーイング377ストラトクルーザーの改修機「スーパー・グッピー」を置き換えた。貨物室内の容積は1400立方メートル、積載量は47トン、航続距離は1660キロメートルで、エアバス機の主翼をはじめ、通常の貨物機では運べないヘリコプターや衛星などの特大貨物を搭載できる。

 日本へは1999年にドラクロワの絵画「民衆を導く自由の女神」を輸送する際にパリから成田へ初飛来。その後は2021年12月に22年ぶりに飛来し、神戸空港へエアバス・ヘリコプターズの大型双発ヘリ「H225 スーパーピューマ」を運び、2023年5月と2024年2月にもエアバス製ヘリを運んでいる。

ハンブルク工場を離陸するベルーガSTの4号機=13年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4号機の退役で、ベルーガSTは2号機(F-GSTB)と3号機(F-GSTC)が残っている。後継機のベルーガXLはA330-200F貨物機をベースに開発されて2020年1月に就航し、6機製造された。機体断面は1メートル広くなり、ペイロードも12%増えて輸送力がベルーガSTよりも30%向上し、A350の主翼を2つ同時に運べる。

 ベルーガXLの就航で、第一線を退いたベルーガSTを活用する新規事業として、エアバスは特大貨物輸送サービス「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表。ベルーガSTのうち、退役済みの初号機(F-GSTA)を除く4機を新会社へ転籍させたものの、今年1月に同社は操業停止となり、再び「エアバス・トランスポート・インターナショナル(BGA/4Y、ATI: Airbus Transport International)」による運航に戻った。

 エアバスによると、退役したベルーガSTの4号機の動向をSNSなどで発信する予定だという。

ラストフライトでトゥールーズを離陸するベルーガSTの4号機(エアバスのサイトから)

ラストフライトでトゥールーズを離陸するベルーガSTの4号機(エアバスのサイトから)

ラストフライトを終えトゥールーズへ着陸するベルーガSTの4号機(エアバスのサイトから)

ラストフライトを終えトゥールーズへ着陸するベルーガSTの4号機(エアバスのサイトから)

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