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JAL、737MAX受領は26年度後半に 斎藤副社長「大きな変更ない」

 日本航空(JAL/JL、9201)の斎藤祐二副社長は7月30日、ボーイング機の受領について「大きな変更はない」とし、38機発注済みで2026年度以降に導入を計画している737-8(737 MAX 8)は2026年度の後半になるとの見通しを示した。

JALが26年度から受領を計画している737-8(737 MAX 8)の模型=25年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
737MAXは26年度後半、787追加分は28年度
ボーイング機日本勢最多はJAL

737MAXは26年度後半、787追加分は28年度

 JALは現在、787-9を最大20機(確定10機、オプション10機)、傘下のZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)が運航する機材として787-8を2機、737-8を38機の3機種合わせて最大60機(確定50機、オプション10機)のボーイング機を発注済み。

 このうち、737-8は2026年度から導入し、国内線を中心に運航している737-800(国内線2クラス165席、国際線2クラス144席)の更新を進める。787-9は2028年度から受領する計画で、今後成長が見込まれる北米・アジア・インド方面を中心とした国際線への投入を検討しており、4年程度かけて受領していく。

 これに伴い、787-9の初期導入機は2027年度以降にZIPAIRへ転出させ、10機程度改修して導入する。

 JALが30日に開いた2025年4-6月期(26年3月期第1四半期)連結決算の会見で、グループCFOを務める斎藤副社長は「ボーイングとは絶えずコミュニケーションをしながら確認している。来年度は737 MAXを導入することは変わっていないが、来年度後半になると思う」と述べ、想定よりは後ろ倒しになる可能性があるものの、2026年度内に受領が始まるとの見方を示した。「その先のデリバリーも確認しているが、当初より若干の遅れは出ていると思うが、大きな変更はない」と語った。

ボーイング機日本勢最多はJAL

 一方、米国のホワイトハウスが現地時間23日に発表した日米関税合意に関する書面には、日本がボーイング機を100機購入するとの記載があった。日本側で交渉にあたった赤澤亮正経済再生担当大臣は、航空各社がすでに発注した契約が今回の機数に含まれるとの見方を示しており、今のところトランプ政権は日本側に新たな発注を求める姿勢を示していない。

ファンボロー航空ショーで787-9を正式に追加発注したJAL=24年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 日本の航空会社によるここ数年のボーイング機の確定発注は、JALが50機でもっとも多く、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が41機、スカイマーク(SKY/BC、9204)が14機で合わせて105機となっている。

 このほか、ANAHDは2014年7月31日に777Xの旅客型777-9を20機正式発注し、うち2機を2022年7月に貨物型777-8Fへ切り替えている。777Xは開発遅延で当初は2021年度から受領する計画だったが、現在は2026年度を想定している。このため、今回の関税合意に関する日本の航空会社による確定発注の算出には、11年前の2014年に発注した777Xは含まれていないもようだ。

 航空機の購入契約は、航空会社などの発注者側と、ボーイングをはじめ機体メーカーが正式に契約を結んで確定発注後、購入価格の一部は前払い金としてメーカーに支払われるものの、機体に不備がないかを確認する発注者側の「領収検査」を経て引き渡しが完了するまでは、全額が支払われることはない。このため、機体メーカー側は大量に受注できても即売上になるわけではない。

 斎藤副社長は「機数よりも、しっかり計画通りデリバリーしてもらうことが大事。(発注を)前倒ししていけばいい、というものではない」と述べ、品質問題や安全性といった課題が山積しているボーイングが、世界の航空会社やリース会社に対し、契約通りの納入を継続していくことの重要性を指摘した。

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