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NATO、A330MRTT追加発注 スウェーデン・デンマークがMMF加盟

 エアバスは現地時間6月24日、NATO支援調達機関(NSPA)が多目的空中給油・輸送機A330 MRTTを2機追加発注し、欧州のMMF(Multinational MRTT Fleet;多国間MRTT機材)が12機体制になると発表した。2028年と2029年に今回の2機を引き渡す予定で、スウェーデンとデンマークが新たにMMFプログラムに正式加盟する。

NATOのA330 MRTT(エアバス提供)

 MMFプログラムは、オランダとルクセンブルクが主導し、ノルウェー、ドイツ、ベルギー、チェコ共和国が段階的に参加。NATOが保有する機材を共同運用する形で、共通性や相互運用性、費用対効果を追求している。今回の拡充により、欧州の戦略的自律性や共同防衛能力がさらに強化されるとしている。

 エアバスの防衛宇宙部門エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのジャン=ブリス・デュモン航空部門責任者は、「今回の拡充は欧州の集団防衛と戦略的自律性へのコミットメントを示すものであり、エアバスはトゥールーズとヘタフェの拠点で製造・改修された最新のA330 MRTTを提供することで貢献する」と述べた。

 A330 MRTTは中型機A330-200を基に開発した機体で、エンジンはロールス・ロイス製トレント700を採用。空中給油、戦略輸送、医療搬送(メディバック)に対応し、燃料は最大111トン搭載できる。最大300人の兵員または最大45トンの貨物を輸送可能で、メディバック用のストレッチャーや集中治療設備も搭載できる。

 A330 MRTTは、空中給油・輸送機として累計32万5000時間超の運用実績があり、世界初の「自動ブーム空中給油(A3R)」認証機材でもある。こうした実績により、米国を除く新世代空中給油機市場で90%のシェアを占めており、エアバスは17カ国から84機受注している。

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A330 MRTT [1]
Airbus [2]

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