ANAホールディングス（ANAHD、9202）傘下の全日本空輸（ANA/NH）は、羽田－ストックホルム線の就航を記念し、スウェーデンの首都ストックホルムでガラパーティーを開催した。ANAが昨年2024年12月から順次開設してきた欧州3路線は、あす2月12日のイスタンブール線開設で完成する。2都市目となるストックホルム就航を祝うパーティーには、政府機関や観光業、貨物事業、空港公団などから約180人が出席。和太鼓や合唱団のパフォーマンスも披露された。
ストックホルム・アーランダ空港を離陸する羽田行きNH222便＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・160年以上の歴史ある会場で開催
・欧州3路線完成へ
160年以上の歴史ある会場で開催
欧州3路線の第2弾となった羽田－ストックホルム線は、1月31日（金）に週3往復で開設。ANAが北欧に定期便を就航させるのは初めてで、当初は2020年に就航予定だったが、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響により、約5年遅れとなった。火曜と金曜、日曜に運航しており、ガラパーティーは就航から3往復目の往路便が到着した現地時間2月4日（火）に開かれた。
ANAのストックホルム・ガラパーティーで行われた航空券の抽選会＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
会場となったのは、1863年創業の歴史あるエンターテインメント施設「Berns」。ストックホルム市街中心部に位置し、旧市街や王宮、スウェーデン国立美術館、ロイヤルオペラなどにも近い。大規模なイベントやコンサートの開催実績も多いという。日本とスウェーデンが国交を樹立したのは1868年で、その5年前にオープンしている。
パーティーは、ロンドンを拠点に活動する和太鼓グループ「The Sounds of Japan」の演奏で幕を開けた。ANAの井上慎一社長が「2020年に予定していた就航が約5年遅れたが、ようやく北欧への定期便を開設できた。日本とスウェーデンを結ぶ唯一の直行便として、両国の交流を深めていきたい」とあいさつし、乾杯の音頭を取った。
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティーで和太鼓を披露するThe Sounds of Japan＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティーで合唱を披露するソフィア・ヴォーカルアンサンブル＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
来賓としてスウェーデン政府のヨハン・ダビッドソン インフラ・住宅副大臣、在スウェーデン日本大使館の水越英明大使が祝辞を送り、スウェーデンの主要10空港を管理するSwedavia（スウェダビア）空港公団のヨナス・アブラハムソンCEO（最高経営責任者）と井上社長による記念品の交換も行われた。
パーティーでは、ストックホルムを拠点に活動する合唱団「Sofia Vokalensemble（ソフィア・ヴォーカルアンサンブル）」がアカペラによる歌声を披露。ABBAの「Dancing Queen」を歌い、会場を盛り上げた。また、和太鼓との共演もあった。
また、ANAの社員アスリートで、スウェーデンの女子ホッケートップリーグ「リンシェーピングホッケークラブ」に所属する床泰留可（とこ・はるか）選手も登壇した。
ストックホルムで開かれたガラパーティーで乾杯するANAの井上慎一社長＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーであいさつするANA社員アスリートの床泰留可選手＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
欧州3路線完成へ
ANAは、2024年12月3日に羽田－ミラノ線を開設。ストックホルム線が1月31日、イスタンブール線が2月12日と、まもなく欧州3路線がそろう。いずれも週3往復で、機材はミラノがボーイング787-9型機の3クラス215席仕様（ビジネス48席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー146席）、ストックホルムとイスタンブールは787-8の3クラス184席仕様（ビジネス32席、プレミアムエコノミー14席、エコノミー138席）を使用する。
羽田空港でANAの客室乗務員から記念品を手渡されるストックホルム行き初便NH221便に搭乗する小さな乗客＝25年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
このうち、羽田－ストックホルム線の運航日は火曜と金曜、日曜。運航スケジュールは、ストックホルム行きNH221便が羽田を午前0時30分に出発し、午前6時20分着。羽田行きNH222便は午前9時35分にストックホルムを出発して、翌日午前7時20分に到着する。
ANAによると、7割程度が日欧間の接続需要で、接続前提のビジネス需要を5割程度想定。貨物需要は日本発が医薬品、ストックホルム発は北欧発日本行きの医薬品や自動車関連、精密機器、玩具などを見込んでいる。
ストックホルム以遠の主な接続パートナーはスカンジナビア航空（SAS/SK）。しかし、コロナによるSASの経営悪化で、加盟するアライアンス（航空連合）がANAなどと同じ「スターアライアンス」から、再生を支援してきたエールフランス航空（AFR/AF）とKLMオランダ航空（KLM/KL）が加盟する「スカイチーム」へ2024年9月1日に移籍している。
この影響で、ANAとSASは羽田－ストックホルム線などのコードシェア（共同運航）を実施していないものの、スウェーデンの国内線ではコードシェアを行っており、ストックホルムからヨーテボリやキルナなどへ乗り継げる。
ストックホルムのアーランダ空港＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ANAストックホルム支店の岡崎央支店長によると、直近に予約率は8割だという。「日本発の観光需要は、特に欧州方面は（回復が）ちょっと遅れており、スウェーデン発の旅行が先に来ている」（岡崎支店長）と訪日需要が先行しており、ビジネス需要は「今まで直行便がなかったからビジネスを検討しなかった、ということもあるので、じわじわと上がってくると思う」と語った。
2月12日のイスタンブール線就航で、ANAの欧州3路線が出そろう。東京五輪と同じ2020年に予定していた就航が新型コロナの影響で延期となったが、約5年を経て完成する。ANAは新路線を活用し、欧州市場でのプレゼンスを高めていく。
＊写真は23枚（運航スケジュールは写真下に掲載）。
ストックホルム・アーランダ空港へ到着したANAの羽田発NH221便＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルム・アーランダ空港を出発する羽田行きNH222便＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルム・アーランダ空港を離陸する羽田行きNH222便＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティー＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーで招待者と記念撮影するANAの井上慎一社長ら＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティー会場に飾られたANAロゴのオブジェ＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ビジネスクラスのアメニティなどが展示されたストックホルムで開かれたANAのガラパーティー会場＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーであいさつするANAの井上慎一社長＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーであいさつするヨハン・ダビッドソン インフラ・住宅副大臣＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーであいさつする在スウェーデン日本大使館の水越英明大使＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたガラパーティーで記念品を交換するスウェダビア空港公団のヨナス・アブラハムソンCEO（左）とANAの井上慎一社長＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティーで振る舞われたメインディッシュの鹿肉料理＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティーで演奏を披露するThe Sounds of Japanとソフィア・ヴォーカルアンサンブル＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティーで合唱を披露するソフィア・ヴォーカルアンサンブル＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ストックホルムで開かれたANAのガラパーティー会場＝25年2月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
運航スケジュール
NH221 羽田（00:30）→ストックホルム（06:20）運航日：火金日
NH222 ストックホルム（09:35）→羽田（翌日07:20）運航日：火金日
関連リンク
全日本空輸 [1]
ストックホルム初便
・ANA、羽田－ストックホルム就航 初の北欧定期便 [2]（25年1月31日）
ミラノ線
・ANA、ミラノ初便が羽田へ 井上社長「日伊関係強くする路線」 [3]（24年12月3日）
・ANA井上社長、ミラノ増便視野 時期未定も「デイリー必須」 [4]（24年12月5日）
・ANA、羽田－ミラノ就航 25年ぶり、貨物も期待 [5]（24年12月3日）
・ルフトハンザ、ITAを子会社化 伊フラッグキャリア株41％取得 [6]（25年1月19日）
スカンジナビア航空
・脱退後のスタアラ塗装機、SASはどう“処理”したか 尾翼は黒塗りに [7]（24年12月10日）
・スカンジナビア航空、スカイチーム正式加盟 [8]（24年9月2日）
・ANAとスカンジナビア航空、マイル提携8/31終了 コードシェアは継続 [9]（24年8月5日）
・スカンジナビア航空、スカイチーム加盟へ スターアライアンス発足5社初の脱退 [10]（23年10月4日）
・エールフランス-KLM、スカンジナビア航空と資本業務提携へ [11]（23年10月4日）
・スカンジナビア航空、米連邦破産法11条申請 運航継続もスト影響 [12]（22年7月6日）
欧州路線
・ANA、羽田－ミラノ12月就航 ストックホルム・イスタンブールは年明け、欧州路線拡大 [13]（24年7月19日）