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ANA、羽田の接客No.1に立原さん 第7回Haneda’s Prideコンテスト

 全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは9月5日、羽田空港のグランドスタッフ(地上旅客係員)の中から「おもてなしNo.1」を決めるコンテスト「Haneda’s Prideコンテスト」を開いた。12人の出場者の中から、国内線を担当する立原衣梨さん(旅客サービス4課)がグランプリに輝いた。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
接客中に慌てて話しかけてくる人も
立原さん「一人でなし得ることができない仕事」
小山田社長「旅客の仕事はチームワーク」

接客中に慌てて話しかけてくる人も

 コンテストは2017年から毎年開かれ、今回で7回目。羽田の空港業務を担うANAエアポートサービス(ANAAS)が定めるグランドスタッフに求められる3つの基本行動「気持ちのいい挨拶をする」「常に笑顔でアイコンタクトをする」「美しい所作で魅了する」を体現できる係員を決めるとともに、羽田の係員全体の接遇スキル向上につなげる。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新型コロナの「5類」移行や、7月の第2ターミナル国際線施設再開など、旅客需要が急回復する中、今回は「Be The Best -羽田から、世界へ-」をテーマに掲げ、羽田で働く約1600人のグランドスタッフから選ばれた12人が出場。1課から6課まであるANAASの旅客サービス部から各課2人ずつ、国内線と国際線の担当者が出場し、日ごろのおもてなしのスキルを羽田空港近くの総合訓練施設「ANA Blue Base(ABB、ANAブルーベース)」で披露した。

 コンテストはロールプレイ形式で、利用者役の社員が登場。久しぶりに国際線を利用するため、ロンドン線が第2ターミナルに移ったことを知らずに第3ターミナルに来てしまった人、空港に着くのが遅れてしまい、搭乗便に乗れなかった人、足が不自由な人など、出場者ごとに異なるシナリオが用意され、1人あたり8分の持ち時間で応対した。

出場者1人あたり3組の利用者役が登場した第7回Haneda’s Prideコンテストで接客する立原さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 利用者役の社員は1人あたり3組登場。出場者が応対中に、慌てた様子でいきなり話しかけてくるなど、日々の業務で起こりうる要素を織り込み、対応力が審査された。審査員は、ANAASの小山田亜希子社長、取締役の田中秀樹氏に加え、社外審査員にサンヨーエアポートサービスの吉田直ー社長が招かれ、12人の奮闘により、審査は難航した様子だった。

 コンテストの様子は、羽田や新千歳、那覇など各空港にもライブ中継された。

立原さん「一人でなし得ることができない仕事」

 今回グランプリを獲得した立原さんは、2017年度入社。出場者12人の審査は6人ずつ行われ、後半のトップバッターだった。

ANAの第7回Haneda’s PrideコンテストでANAエアポートサービスの小山田社長(右)から表彰状を手渡されるグランプリの立原さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 応対した利用者役は、若いころは野球をやっていたという、少し足の具合が悪くつえを持った65歳の男性、子供が生まれて初めて旅行するという赤ちゃんを含む3人家族、国内線に搭乗するまで4時間あり、品川駅へ買い物に行きたいという女性客だった。

 「若いころは大谷ばりに野球やってたんだ」と身振りやジョークを交え、楽しげに話す男性客は、孫がスマートフォンにANAのアプリをインストールし、手続きをしてくれたものの、使い方がよくわからない様子だった。立原さんは、アプリを使えばカウンターに並ばずに手続きできるなど、一緒に画面を確認しながら案内した。

 赤ちゃん連れの家族客を応対した際は、夫が上級会員「ダイヤモンド」のステータスを持ち、妻は「スーパーフライヤーズ(SFC)」会員だったことから、上級会員向けラウンジ「ANAスイートラウンジ」の利用法などを説明した。

 品川駅に買い物に行きたいという女性客には、手荷物は預け入れが可能であることと、出発時刻の20分前が保安検査の締切時刻であることなどを案内していた。

 表彰式でのあいさつで「普段から緊張しいで、人前に立つのも苦手」という立原さんは、「仲間からたくさんの温かい応援をいただき、恵まれた環境で成長し続けられることに感謝しています。決して一人ではなし得ることができないお仕事なので、感謝の気持ちを申し上げたいです」と、涙を浮かべながら謝意を述べた。

小山田社長「旅客の仕事はチームワーク」

 表彰式で小山田社長は「コンテストの審査員は3年目だが、採点は毎回難しい。嗜好(しこう)の問題で、どういう接客が好きかというのもあり、本当は接客は競うものではないのかもしれないが、より多くの人に見てもらい、伝承していってほしい」とあいさつ。グランプリに輝いた立原さんに、表彰状とクリスタル製トロフィーを贈った。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さん(左)とANAエアポートサービスの小山田社長=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストで講評を述べるANAエアポートサービスの小山田社長=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 小山田社長は「立原さんの審査シートには、お客様に合わせて会話を楽しんでご案内している、心からの笑顔、安定した知識、パーフェクトと書いた。本当にすばらしかった」と選考理由を明かした。

 「毎回たくさんの感動をいただいている。なぜコンテストで感動するのだろう、と考えると、出場者の一生懸命さ、仕事に向かう姿勢に感動するのだと思った。やはり一人ではなく、仲間のおかげだ。旅客の仕事はチームワークで、ファイナリストの力になっていると思う。これからも後進に伝承していって欲しい」と、緊張の中で審査に挑んだ出場者たちに言葉をかけた。

 また、準グランプリには旅客サービス1課 国際担当の今井はるかさんと、旅客サービス6課 国内担当の佐久間琴美さんが選ばれ、審査員特別賞を旅客サービス5課 国際担当の大山智子(のりこ)さんが受賞した。

 グランプリの立原さんは、国内外のANAのグランドスタッフが接客技術を競う「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」に羽田代表として出場することが決まった。

*写真は14枚(出場者12人の氏名は写真後ろに掲載)。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストの出場者=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに選ばれ喜ぶ立原さん(中央左)=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストの出場者と審査員=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

出場者(敬称略で出場順、括弧内は所属課と担当、入社年度)
服部彩貴(2課国内、16年度)
安部優希(2課国際、19年度)
温井鈴夏(5課国内、15年度)
大山智子(5課国際、16年度)審査員特別賞
百瀬英里(1課国内、16年度)
今井はるか(1課国際、17年度)準グランプリ
立原衣梨(4課国内、17年度)グランプリ
中井雅仁(4課国際、19年度)
江本笑美(3課国内、15年度)
小峯早織(3課国際、16年度)
佐久間琴美(6課国内、17年度)準グランプリ
中村早希(6課国際、18年度)

関連リンク
全日本空輸 [1]
ANAエアポートサービス [2]

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