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シンガポール航空、座席供給量コロナ前57%まで回復へ 日本路線は週33便

 シンガポール航空(SIA/SQ)は、4月末までに全体の座席供給量を示すASK(有効座席キロ)をコロナ前の57%まで回復させる見通しだ。1日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を終えた人は、すべての国・地域を対象に隔離なしで入国できるようにしたことを受け、回復を加速させる。

シンガポール航空のテオ日本支社長=22年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同社のケニー・テオ日本支社長によると、3月27日開始の夏ダイヤでは日本路線を週33便運航。週84便運航していたコロナ前の39%にあたる便数で、シンガポール-成田線が週11往復、羽田線が週3往復、関西線が週7往復、中部線が週3往復、福岡線が週2往復で、成田-ロサンゼルス線を週7往復運航している。

 テオ支社長は「需要はコロナ前とまったく一緒とは思っていない。ビデオ会議が普及したことで一部の需要が下がるだろう。一方で、コロナにより新しく生まれたビジネスがあるので、世界に対して売り込みをする場合に海外出張が必要になってくるだろう」との見通しを語った。

 日本とシンガポール間は、シンガポール航空系LCCのスクート(TGW/TR)や、日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資するLCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)も路線を展開している。シンガポール航空などFSC(フルサービス航空会社)とLCC(低コスト航空会社)のすみ分けについて、「観光で利用される方の中でも引き続きFSCのサービスを求める方もいらっしゃれば、そのようなサービスはいらないとLCCを選択する方もいらっしゃるだろう。我々はFSCのシンガポール航空とLCCのスクートの2ブランドでアプローチしていく」(テオ支社長)と、自社で双方の需要を取り込める強みに触れた。

 また、シンガポール航空は成田からの以遠権を使い、ロサンゼルス線を運航しているが、シンガポールから米東海岸ニューヨーク近郊のニューアークまでの超長距離路線をコロナ前に再開した。アジアと北米を結ぶ路線展開について、テオ支社長は「いろいろな選択肢を提供することが重要だ。例えば行きは直行便、帰りは日本経由といった選択が可能で、コロナ後もこれを変えるつもりはない」と述べ、今後も成田経由便を存続する考えを示した。

 一方、2021年10月に開始予定だった全日本空輸(ANA/NH)との共同事業(JV)については、日本とシンガポール両国で独占禁止法適用除外(ATI)に向けた審査が続いているとして、現時点で大きな進展はないという。

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シンガポール航空 [1]

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