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ANAのA380、下地島空港に初飛来 成田から2泊3日チャーター

 全日本空輸(ANA/NH)は10月30日、総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」によるチャーターフライトを、成田-下地島間で実施した。沖縄の下地島空港にA380が姿を見せたのはANA以外の航空会社も含めて初めてで、ANAが同空港へ有償旅客を運んだのも初となった。同社が出発地と到着地が異なるA380のチャーターを実施するのは、9月の新千歳と那覇に続いて3回目となった。

下地島空港に着陸するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Takafumi ETO/Aviation Wire

 チャーターは2泊3日のツアーで、機材は青色の初号機(登録記号JA381A)を使用。乗客260人(幼児5人含む)と乗員20人(パイロット2人、客室乗務員18人)を乗せ、下地島行きNH2021便として成田空港を午前11時に出発し、同24分に離陸した。

 下地島空港には午後2時17分に着陸し、7番スポットへ同23分に到着した。滑走路(RWY17/35)端の通称「17エンド」と呼ばれる飛行機撮影の名所には、「空飛ぶウミガメ」ことANAのA380をひと目見ようと多くの人が集まった。また、同じ時間帯にポケットモンスター(ポケモン)の人気キャラクター「ピカチュウ」をデザインしたスカイマーク(SKY/BC)の特別塗装機「ピカチュウジェットBC」(ボーイング737-800型機、登録記号JA73AB)が羽田空港から飛来し、特別塗装機の“競演”がみられた。

 ツアーの旅行代金は、2人1室利用で1人当たりファーストクラスが24万8000円、ビジネスクラス窓側が19万8000円、通路側が18万8000円、プレミアムエコノミー窓側が11万800円、通路側が10万800円、エコノミークラス窓側が9万6800円、窓側翼上席が8万9800円、通路側8万1800円。ファーストとビジネスは、空港-ホテル間の往復送迎が付く。

下地島空港に着陸するANAのA380(中央)と駐機中のスカイマークのピカチュウジェットBC(左)をはじめとする737-800=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港に着陸するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAのA380の座席数は4クラス520席で、ファーストクラスが8席、ビジネスクラスが56席、プレミアムエコノミーが73席、エコノミーが383席。初号機は2019年5月24日に、2号機(JA382A)は同年6月18日に就航し、残る3号機(JA383A)も今月16日に成田空港へ到着した。

 成田-ホノルル線の専用機材で、全機にハワイの空と海、夕陽をイメージした特別塗装を施しており、初号機が青(ANAブルー)、2号機が深緑(エメラルドグリーン)、3号機がオレンジ(サンセットオレンジ)と1機ごとに色が異なる。機首の表情も、正面を見る初号機、ほほ笑む2号機、まつげを描いた3号機と違いがある。

 下地島空港は1979年7月5日に開港。宮古島市にある地方管理空港で、滑走路は3000メートル×60メートルが1本、スポット(駐機場)は大型機用が5つ、中型機用が1つ。島全体が空港用地となっており、国内唯一の民間ジェット機の訓練空港として利用されてきたが、日本航空(JAL/JL、9201)が2011年度まで、ANAが2013年度までで撤退した。2019年3月30日に現在のターミナルが開業し、ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)が約24年ぶりとなる定期便として成田線を同日就航させた。

下地島空港でA380をバックに撮影に応じるANAの粕谷和男機長(中央)と齋藤縣機長(左)、客室乗務員の下地風音さん=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 NH2021便を操縦した運航責任者(PIC)の粕谷和男機長は「順調なフライトで、比較的天気が良かったことから島の上空を飛行し、有視界飛行で着陸しました」と話した。副操縦士役を務めた齋藤縣(あがた)機長は「成田では3号機が止まっていたので、管制の許可を得て少し遠回りして離陸しました」と、出発時からファンサービスをしていた。両機長とも下地島空港で訓練した経験を持ち、粕谷機長はA320の教官としても同空港で訓練を行ったという。

 宮古島生まれの客室乗務員、下地風音(ふうね)さんは「初めてA380のチャーターフライトに当選したという方もいらっしゃいました」といい、「ホヌの乗務で来られてうれしいです。宮古島は自然が豊かで沖縄本島やほかの島とは違った魅力があるので、癒やされて欲しいです」と話していた。

 復路の11月1日は、下地島空港のスポットからトーイングカー(牽引車)による押し出しではなく、A380が自走して出発するという。

*翌日開催の機内見学ツアーの様子はこちら [1]
*写真は15枚。

下地島空港でA380をバックに撮影に応じるチャーターフライトのクルー=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港上空を通過するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港に進入するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Takafumi ETO/Aviation Wire

下地島空港に着陸するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Takafumi ETO/Aviation Wire

下地島空港に着陸するANAのA380を撮影する人々=21年10月30日 PHOTO: Takafumi ETO/Aviation Wire

下地島空港に着陸するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港に着陸するANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港の7番スポットへ向かうANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Takafumi ETO/Aviation Wire

成田空港から下地島空港に到着したANAのA380=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港で降機した乗客に向けてA380のコックピットから手を振るANAの粕谷和男機長=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

下地島空港でA380をバックに横断幕を手にして撮影に応じるANAの地上係員=21年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
ANA FLYING HONU 下地島空港利用 チャーターフライトで行く宮古島3日間 [2]
全日本空輸 [3]
みやこ下地島空港ターミナル [4]

機内見学ツアー
ANA、沖縄・下地島で空飛ぶウミガメA380機内見学会 [1](21年10月31日)

3号機
「イスが多く点検に時間かかった」写真特集・ANA A380オレンジ3号機トゥールーズ出発 [5](21年10月24日)
ANAのA380、まつげのあるオレンジ3号機が成田到着 就航は未定 [6](21年10月16日)
ANAのA380オレンジ3号機、トゥールーズ離陸し成田へ [7](21年10月16日)

成田から新千歳や那覇へチャーター
空飛ぶウミガメ、沖縄へ 写真特集・ANA A380那覇初飛来 [8](21年9月26日)
初の新千歳夜間駐機も ANAのA380、発着異なる初チャーター終える [9](21年9月20日)

写真特集・ANA A380 FLYING HONUの機内
(1)個室ファーストクラスでプライバシー確保 [10](19年5月21日)
(2)ペアシートもあるビジネスクラス [11](19年5月22日)
(3)2階後方にゆったりプレエコ [12](19年5月23日)
(4)カウチシートもあるエコノミー [13](19年5月24日)

ホノルル空撮 初号機と2号機の2機並び
【空撮】空飛ぶウミガメ、ホノルルに2機揃い踏み ANAのA380、週10往復に [14](19年7月3日)