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ANA社員の出向、三重県も受入検討 鈴木知事が表明

 三重県の鈴木英敬知事は10月31日、全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループから出向者を受け入れる姿勢を示した。31日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長に受け入れを表明した。具体的な内容は、県内の雇用情勢などを見ながら検討を進めていく。

ANA社員の出向受入を三重県も検討=20年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAHDは28日に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による大量運休の長期化を受け、事業構造改革を発表。この中で客室乗務員など社員をグループ外の企業や自治体に出向させることを明らかにした。家電量販店のノジマや高級スーパーの成城石井、各地の自治体など、12月までに約10社100人程度、来春には受け入れ先を拡大して400人以上の社員を出向させる。

 31日に三重県との包括連携協定を締結するため、同県を訪れたANAHDの片野坂真哉社長は、「企業名や自治体名を出して反応があった。鈴木知事からは三重県でも受け入れたいと、力強いお言葉をいただいた」と、知事から提案があったことを明らかにした。「(東京から三重へ向かう)新幹線も近鉄特急もいっぱいで、人々が動き出すのではと感じるが、国際線はまだまだ厳しい。社員がほかの企業や自治体に入って仕事をすることで自分自身も磨かれ、新しいビジネスの糸口になる可能性もあるので大変期待している」(片野坂社長)と述べた。

 鈴木知事は、「規模、時期ともにこれから検討する」と述べ、県や県内企業での受け入れについて調整していくという。

 片野坂社長は、「いろいろなところからお声掛けをいただいているので、どういった分野で社員が活躍できるかをこれから調整させていただく。客室乗務員だけでなく、空港の地上係員やIT系の社員など多様な人材が活躍できるようにする」と語った。

 三重県とANAHDは、片野坂氏が社長に就任した2015年の11月に包括連携の覚書を締結。これまでに観光振興や食材の販路拡大、人材育成などの分野で協業してきた。31日に締結した包括連携協定では、「空飛ぶクルマ」「アバター」といったANAグループが展開している新事業領域にも連携範囲を広げ、政府が提唱する科学技術政策「Society 5.0(ソサエティー5.0)」の三重県での実現に向けた取り組みを進めていく。

関連リンク
三重県 [1]
全日本空輸 [2]

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