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三菱スペースジェット、米国での飛行試験再開

 三菱重工業(7011)傘下の三菱航空機は現地時間5月5日から、リージョナルジェット機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」の米国での飛行試験を再開した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で3月下旬から飛行試験を中断していたが、ワシントン州政府の許可を取得した。

米国での飛行試験を再開した三菱スペースジェット(資料写真)=19年12月 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

 三菱航空機によると、米国での飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」があるワシントン州政府から、4月23日に感染症対策を徹底することを条件に業務再開を許可されたという。これを受け、MFCの全従業員に感染症対策の教育を実施し、5日から飛行試験を再開した。5日は飛行試験初号機(登録記号JA21MJ)を使い、1時間ほど飛行した。

 一方、日本国内では、2016年以降に実施した設計変更を反映した飛行試験10号機(JA26MJ)を使った飛行試験を続けている。三菱航空機によると、県営名古屋空港内に構える本社のスタッフは、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため在宅勤務をメインにしており、分割シフトで出社して対応しているという。

 3月に初飛行した10号機は、国が機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」取得時に使う機体。天候に恵まれ飛行回数を稼げる米国のMFCへ持ち込む計画だが、米国などへの渡航制限が解除されるまでに時間がかかることから、飛行試験は当面日本で実施していく。

 MSJの納期は、6度目の延期により2021年度以降を予定している。

*10号機の初飛行はこちら [1]
*19年12月のMFC公開はこちら [2]

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三菱航空機 [3]

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