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「品質の問題ではない」787のバッテリートラブルでボーイング幹部

 ボーイング787型機で発生したバッテリートラブルについて、4月28日に都内で会見した同社民間航空機部門のレイモンド・コナー社長は、品質に問題はなかったとの考えを示した。

会見で使用したメモを手にするボーイング民間航空機部門のコナー社長=4月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

会見で使用したメモを手にするボーイング民間航空機部門のコナー社長=4月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの787による試験飛行後に会見するコナー社長=4月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 改良型バッテリーを搭載した全日本空輸(ANA)の787による1回目の試験飛行後に行われた会見の冒頭、コナー社長は「改善策や設計、取り付けに関して自信を持っており、我々の家族をいつでも乗せられる」として、安全性を強調。改善策は問題点を把握した上で、バッテリーのセルを改良し、格納容器を追加したことで火災を防ぎ、機体には影響を及ぼさない構造であることを改めて説明した。

 787は、当初予定から3年遅れの2011年9月にANAへ初号機が引き渡された。開発遅延に加え、初期の機体は重量超過によりANAから受領を拒否されるなど、開発費がかさんでいる。

 引き渡し開始後の12年2月には、ボーイングのサウスカロライナ工場で製造中の後部胴体で、炭素繊維複合材の外板と機体フレームの間ではく離が起きる不具合が発覚。航空会社への引き渡しに再度遅延が生じた。1月16日に高松空港へ緊急着陸したANAの機体(登録番号JA804A)では、バッテリートラブルとは直接関係はないものの電気配線にミスが見つかった。

 こうした開発費増加の影響からか、複数のサプライヤー(納入業者)への取材で、ボーイングのコストダウン要求が以前と比べて厳しくなったとの声が聞かれた。一連のトラブルの背景にボーイングによる過度なコストダウン要求が影響しているのではとコナー社長に尋ねると、一瞬表情を曇らせた後、「我々がもっとも重視しているのは品質。品質の問題ではなかった」として、直接の言及を避けた。

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