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ロールスロイス、カンタス747を飛行試験機に 次世代エンジン開発

 ロールス・ロイスは、退役するカンタス航空(QFA/QF)のボーイング747-400型機(登録記号VH-OJU)を購入し、次世代エンジンの最先端技術を飛行中に試験する「フライトテストベッド」(飛行試験機)として活用する。7000万米ドル(約76億円)を投じる。

退役するカンタス航空の747-400を改修するロールス・ロイスのフライトテストベッド(イメージ、同社提供)

カンタス航空の747−400(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 フライングテストベッドとなる747はロールス・ロイスのRB211エンジンを搭載。20年にわたりカンタスで運航されてきた。総飛行距離は地球と月のほぼ100往復に相当する7000万キロ以上に及び、250万人を運んだ。最後の商業運航は、10月13日のシドニー-ロサンゼルス線となった。

 今後はロールス・ロイスで高度試験や特定飛行条件下での技術のモニタリングが行われる。同機には最新の試験能力を持たせ、民間機向けエンジンとビジネスジェット向けエンジン双方の試験を初めて可能にする計画になっている。また、これまでと比較してより良いデータを早く取得し、より高い高度で高速試験を可能にする新システムを導入する。また、ロールス・ロイスのインテリジェントエンジンの試験も計画している。

 テストベッドへ改修後は、これまで285回のテスト飛行を行った既存の747-200とともに運用する。同機はカンタスでは「ロード・ハウ島」と名付けられていたが、今後はロールス・ロイス社員が新しい名前を決めるという。運航はエンジニアリングの知識を持ち、長年にわたり民間機や軍用機、試験機を飛ばしてきた経験豊かな専門のテストパイロットが担当する。

 また、英国ダービーに建設中で、2020年に完成予定の世界最大で最新鋭の「テストベッド 80」には、9000万ポンド(約125億円)を投資している。

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