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JAL、赤坂社長が安全統括管理者に 飲酒問題の指揮一本化

 日本航空(JAL/JL、9201)の赤坂祐二社長は10月8日、安全問題の責任を負う「安全統括管理者」を自ら担う方針を示した。パイロットの飲酒問題で国土交通省から同日、2018年12月以来1年間で2度目の事業改善命令を受けたことによるもので、交代手続きを進める。現任の安統管である権藤信武喜常務を解任し、飲酒問題を含む安全関連の指揮系統を一本化する。

安全統括管理者を自ら担うJALの赤坂社長=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは2018年12月21日に、直近1年間で1回目の事業改善命令を受けた。同年10月28日にロンドン発羽田行きJL44便の男性副操縦士(当時、懲戒解雇)が、過度な飲酒により英国で身柄を拘束され、現地で禁錮10カ月の判決が言い渡されるなど、パイロットの飲酒問題が相次いだことによるもので、今年1月18日に再発防止策を国交省航空局(JCAB)に提出した。

 しかし、その後もパイロットの飲酒問題が3件発生したことから、事態を重く見た国交省は8日、2度目の事業改善命令を出した。JCABによると、定期便を運航する航空会社で同じ内容の事業改善命令を1年以内に再び受けた事例は過去にないという。

 また、安全管理体制に問題があるとして警告書を出した。JCABの和田浩一局長は「パイロットの危機感の薄さや、飲酒に関する違反行為が安全上重大な問題であるという認識が経営層を含め、組織内でいまだ徹底されていないと言わざるを得ない」と厳しい見方を示し、事業改善命令に従って改善するよう警告した。

 航空会社を監督する国交省は、社長を解任することはできないが、安全問題の責任者である安統管は解任できる。赤坂社長は責任の所在を明確にし、「不退転の決意で先頭に立つ」として飲酒問題の根絶にあたる。

関連リンク
国土交通省 [1]
日本航空 [2]

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