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777X貨物ドア破損、後部胴体減圧で発生 20年初飛行・納入堅持

 ボーイングは現地時間9月10日(日本時間11日)、777Xの荷重試験中に静強度試験機の貨物ドアが地上で吹き飛んだ問題で、後部胴体で起きた減圧が関係していることを明らかにした。一方、2020年に予定している初号機納入などのスケジュールは現在のものを堅持する。

終極荷重試験で静強度試験機のドアが吹き飛んだ777X。写真は飛行試験機(ボーイング提供)

 貨物ドアが吹き飛んだのは、6日に実施していた終極荷重試験。商業運航で想定されるよりもはるかに高い負荷をかける試験で、最大荷重を1.5倍上回る負荷をかけて主翼を曲げる。ボーイングは「試験終盤の数分間で発生し、後胴の減圧が関係していた」と説明している。

 静強度試験機を使った試験は6月から実施しており、今回の項目が最終試験だった。現在は試験を一時中断している。貨物ドアが破損した原因究明は続けるものの、ボーイングは「機体の設計や試験プログラムのスケジュール全体に大きな影響を与えるとは考えていない」として、納期の見直しには言及しなかった。

 777Xは、GEアビエーション製の新型エンジン「GE9X」の再設計が生じたものの、現時点で初飛行を2020年初頭に実施する計画。初号機納入も2020年を予定している。

 一方で、737 MAXが相次いで墜落したことなどから、ベテラン設計者を軽視してきたボーイングの現状に対し、欧米メディアを中心に批判的な見方がある。今後は安全性を本当に確保できているのかを、777Xの開発を通じて世に説明していくことが求められる。

 777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロ)、777-9は7600海里(1万4075キロ)を計画している。日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が、777-300ERの後継機として777-9を20機確定発注しており、2021年度から受領する見通し。

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Boeing [1]
ボーイング・ジャパン [2]

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