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777Xの試験中断、納期見直し言及せず 荷重試験で試験機の貨物ドア吹き飛ぶ

 ボーイングは、777Xの荷重試験中に静強度試験機の貨物ドアが地上で吹き飛び、試験を9月7日から一時中断している。同社によると、試験中に「試験の中断が必要な問題が発生した」として、原因を調査中だという。けが人は出なかった。現時点で納期の見直しには言及していない。

*後胴減圧で発生。記事はこちら [1]

ボーイングがパリ航空ショーに出展した777Xの模型と客室モックアップ=19年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 開発中の777Xは、777-300ERの後継となる次世代大型機。シアトル・タイムズによると、静強度試験機に高負荷をかける試験を6日に実施した際、貨物ドアが吹き飛んだという。FAA(米国連邦航空局)の型式証明(TC)取得に必要な終極荷重試験で起きたもので、ボーイングは「試験条件は、商業運航で予想される負荷をはるかに超えるもの」と説明している。

 これを受け、ボーイングが777Xの荷重試験を一時中断したことを7日に発表したと、ロイター通信が8日に報じた。

 航空機の開発では、地上で強度などを試験する静強度試験機と、実際に飛行して試験する飛行試験機が一般的に複数用意される。777X初の飛行試験機は、今年3月に従業員向けにお披露目されている。

 777Xについては、GEアビエーション製の新型エンジン「GE9X」で問題が発覚し、再設計が生じている。ボーイングのデニス・マレンバーグ会長、社長兼CEO(最高経営責任者)は7月に「2020年初頭に初飛行を実施できると予測している。エンジン以外は順調に進んでおり、この遅れは明らかに期待外れだ」と述べ、年内の初飛行は断念した。

シアトル近郊のエバレット工場に駐機された777X=19年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方で、7月の時点では初号機納入は計画通り2020年を堅持する姿勢を示しており、マレンバーグCEOが今回のトラブルを受け、納期見直しに今後言及するかに注目が集まる。

 777Xはメーカー標準座席数が3クラス350-375席の777-8と、400-425席の777-9の2機種で構成。航続距離は777-8が8700海里(1万6110キロ)、777-9は7600海里(1万4075キロ)を計画している。日本の製造分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%となる。

 日本の航空会社では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が、777-9を20機確定発注しており、2021年度から受領する計画。ANAHDによると、現時点でボーイングからトラブルについて連絡はなく、計画通りに引き渡されると判断しているという。

関連リンク
Boeing [2]
ボーイング・ジャパン [3]

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