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三菱スペースジェット、飛行試験機を最大7機に 秋に1機追加

 三菱重工業(7011)は7月12日、子会社の三菱航空機が開発中の「三菱スペースジェット(旧MRJ)」について、飛行試験機を現在の4機から最大7機に増やし、機体の安全性を国が証明する「型式証明(TC)」の取得に向け、試験体制を強化する方針を明らかにした。

パリ航空ショー出展を終えル・ブルジェ空港を離陸する三菱スペースジェット=19年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 三菱重工の髙口宙之MRJ事業部長は、「飛行試験機を2機、ないしは3機追加投入する」と、都内で開かれた事業説明会で述べた。初号機の納入は「2020年半ばを堅持している」とし、飛行試験機を増やすことで、納入開始前に必要となるTC取得に向けて飛行試験項目を消化していく。

 現在、愛知県小牧で製造している通算10号機は、秋ごろから国内で飛行試験を始め、米国の飛行試験拠点があるワシントン州モーゼスレイクへ持ち込む。三菱重工によると、残り2機については、小牧にある通算7号機と11号機を充当する可能性があるという。

 三菱航空機は、「MRJ90」と呼んでいた機体を「SpaceJet M90」と6月に改称し、M90をベースに新設計する機体を「SpaceJet M100」と名付けた。M100は米国市場に最適化した機体サイズで、座席数は3クラス65-76席、最大1クラス88席まで設定できる。1クラス最大92席を設定できるM90と比べて、M100は全長がやや短くなる。

 M100の市場投入は2023年を計画。髙口氏は、「まずはM90のTCをきちんと取る。M100は(設計の)差分を審査いただくので、開発費もだいぶ抑えられるのではないか」と語った。

 また、従来100席クラスの構想として「MRJ100X」と呼んでいたものは、6月に名称変更した段階で「SpaceJet M200」に改めている。開発検討段階にあるM200について、髙口氏は「110席や120席は考えていない。あくまでも100席のマーケット。96席や100席ジャストの機体になると思う」と述べた。

 これまで設計変更を行っていたスペースジェットは、6月中旬から製造を再開。量産体制が安定する段階では、月産5機を目指す。

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三菱航空機 [1]
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