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JAL、787国内線仕様は10月就航 既存機もUSB設置、中期計画ローリングプラン

 日本航空(JAL/JL、9201)は2月25日、2017-2020年度中期経営計画のローリングプラン(改訂版)を発表した。このうち、2019-2020年度は国内線にエアバスA350-900型機やボーイング787-8型機を導入するほか、自動チェックイン機の刷新など「スマート空港」の実現に取り組む。

10月から国内線に就航するJALの787-8=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2018年度から2020年度までの設備投資は、航空機への投資を400億円積み増すなどで、総額7000億円とした。2018年度に設定した「特別成長投資枠」の500億円については、2020年度夏ダイヤに就航を予定している中長距離LCC事業の立ち上げに、およそ半分の230億円を充てるとした。

 2020年度の売上は1兆6000億円、営業利益は1800億円を目標とし、2021年度以降2030年度までのあり方を示す「グランドデザイン」では、売上2兆円、営業利益2500億円、営業利益率10%以上を目指す。

 2018年度は売上が1兆4880億円、営業利益が1750億円となる見通しで、2019年度は売上1兆5630億円、営業利益は償却方法変更前が1800億円、変更後は1700億円を見込んでいる。また、会計基準にIFRS(国際財務報告基準)を2020年度から適用する。

 2011年1月の破綻以降適用されてきた繰越欠損金の100%控除は、2018年度で終了。これに伴い、2019年度以降は法人税率30%を想定した計画になっている。

—記事の概要—
国内線既存機も充電用USB設置
国際線は顔認証導入
成田整備地区を再編

国内線既存機も充電用USB設置

JALのA350-900初号機に取り付ける尾翼=PHOTO: JB-Accariez, Master Films/Airbus

 国内線では、A350-900を9月から羽田-福岡線を皮切りに導入。今秋導入としていた国内線仕様の787-8新造機は、10月から羽田-伊丹線を中心に投入する。いずれも個人用モニターと電源を装備する。

 新機材の就航に合わせて、既存の国内線用767と737も個人用電源として充電用USB端子を順次設置していく。2020年には、グループの北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が仏ATRのターボプロップ機ATR42-600型機を就航させる。

 国際線は、今年6月から欧米豪路線のビジネスクラスを、全便フルフラットシートに改める。また、100%出資する中長距離LCCの準備会社「ティー・ビー・エル(TBL)」は、3月上旬に国土交通省航空局(JCAB)へAOC(航空運送事業の許可)を申請する方針で、JALが運航している787-8のうち、2機を改修する。

 A350のうち、長距離国際線に投入している777-300ERの後継機A350-1000の就航時期について、経営企画本部長を務める西尾忠男常務は、「2020年度以降の導入を検討している」と述べるにとどめた。

 リージョナル機を含むJALグループ全体の機材計画は、2018年度見通しが231機(国際89機、国内142機)に対し、2019年度は5機増の236機(国際90機、中距離LCC2機、国内144機)を計画。2020年度は236機と全体では据え置くものの、国際線機材を2機増やして92機にする一方で、国内線は142機に減らす。

 また、機材の座席仕様を見直す。787-8の3クラス161席となるE11仕様(ビジネス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー88席)からプレエコをなくし、25席増の2クラス186席のE12仕様(ビジネス30席、エコノミー156席)を設定。エコノミークラスの座席数を必要とするアジア路線など、ニーズに合った仕様に変更する。E12仕様は、27年ぶりに再開する3月31日就航の成田-シアトル線にも投入する。

 座席仕様の見直しにより、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は2017年度を基準として、2018年度見通しは国際・国内合わせて4%増(国際6%増、国内1%増)、2019年度計画は7%増(国際9%増、国内4%増)、2020年度目標は17%増(国際25%増、国内5%増)と、機材を大幅に増やすことなくグループ全体の供給量を増やす。

国際線は顔認証導入

東京オリンピック前にリニューアルする羽田空港のJALカウンター=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スマート空港は、国際線が成田と羽田の2空港、国内線は羽田と新千歳、伊丹、福岡、那覇の5空港で、2020年度から実現を目指す。

 自動チェックイン機の刷新や増設、自動手荷物預け機(バゲージドロップ)の導入のほか、国際線では顔認証の導入による手続き時間短縮を図る。また、保安検査の高度化も進める。

 西尾常務は、「まずは国内線からスタートし、羽田に自動チェックイン機やバゲージドロップを導入する。国際線は成田と羽田を一緒に整備する」と語った。赤坂祐二社長は、これらを東京オリンピック前に導入する方針を示した。

成田整備地区を再編

20年度から再編するJALの成田空港整備地区=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、成田空港の整備地区を2020年度から再編し、統合整備拠点を新設する。1978年の開港時から使用しており、老朽化や現在の機材に合わなくなってきているためだ。

 整備部門出身の赤坂社長は、「成田の開港以来使っており、747を何十機も持っていることを前提とした施設で、今の時代になって遊休化している。維持費が大きくかさんでいくことが見えており、更新に踏み切る」と説明した。

 「更新するだけではなく、これまでにない整備のやり方を組みたい」(赤坂社長)と述べ、「効率化や機械化を図るので、余力を今後の外航機の整備に活用するのは十分あり得るが、第一(の目的)ではない」として、整備受託の大幅増を主目的とした再編ではないと語った。

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