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国交省、ANAウイングスに業務改善勧告 飲酒問題でパイロット口裏合わせ

 国土交通省航空局(JCAB)は2月1日、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下で地方路線を担うANAウイングス(AKX/EH)に業務改善勧告を行った。40代男性機長(懲戒解雇)から乗務前にアルコールが検出され、1月3日の国内線5便が遅れた問題で、機長が規定時間や飲酒量を超えて酒を飲んでいたことに加え、同席した30代男性副操縦士に口裏合わせを依頼したことによるもの。国交省はANAウイングスに対し、2月22日までに再発防止策を報告するよう指示した。

国交省から業務改善勧告を受けたANAウイングス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機長は全日本空輸(ANA/NH)からの出向者で、この日はボーイング737-800型機に乗務し、国内線3便を運航予定だった。当初は会社に対し、社内規定内の飲酒だったと説明していたが、その後の社内調査で機長が規定上限の約2倍にあたる酒を飲んでいたことなど、虚偽報告だったことが判明。ANAウイングス社員の副操縦士は、機長から口裏合わせを依頼された。

 機長は1月16日付で出向元のANAを懲戒解雇された。ANAウイングスの泉弘毅社長とANAの平子裕志社長は、それぞれ役員報酬1カ月分を20%減額する処分を受けた。また、国交省もこの機長に対し、航空法に基づき航空業務停止1年間、副操縦士には同10日間の措置を取った。

 ANAウイングスでは、昨年10月25日にも当時機長だった40代男性が飲酒で体調不良になり、国内線5便が遅延。機長は11月6日付で諭旨退職処分を受け、国交省は同社を12月21日付で文書による厳重注意としていた。また、ANA本体でも10月2日に当時パリ支店長兼ブリュッセル支店長だった50代男性が、ビジネスクラスでワイン6杯を飲み、乗客にけがをさせて諭旨解雇処分となっている。

 国交省は、ANAウイングスに対して「重大かつ悪質な飲酒事案が再発したことは極めて不適切」とし、行政指導ではもっとも重い業務改善勧告を行った。

 国内の航空会社では、昨年秋からパイロットの飲酒問題が相次いで発覚。国交省は、12月21日に日本航空(JAL/JL、9201)に対して行政処分となる事業改善命令を、ANAとANAウイングス、スカイマーク(SKY/BC)、日本エアコミューター(JAC/JC)の4社を厳重注意とした。JALは乗務中の女性客室乗務員が機内で飲酒していたことが12月に発覚し、今年1月11日に業務改善勧告を受けている。

関連リンク
国土交通省 [1]
全日本空輸 [2]
ANAウイングス [3]

ANAウイングスの飲酒問題
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国交省の対応
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