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関空-ロンドン、10年ぶり復活へ ブリティッシュ・エア、19年3月から週4往復

 ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)は9月25日、ロンドン-関西線を2019年3月に開設すると関西空港で発表した。同路線は関西経済界が復活を要望していた路線で、日本航空(JAL/JL、9201)の運休以来、10年ぶりの復活となる。

*初便就航の記事はこちら [1]

ロンドン-関西線の開設を発表する(左から)KAPのジャメ専務とBAのバージャー支社長、JALの中野支配人=18年9月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
787で週4往復
ロンドン最優先で交渉
BA支社長「成功間違いない」

787で週4往復

 ロンドン線は、夏ダイヤが始まる現地時間3月31日から、週4往復運航する。ロンドンを日曜と月曜、水曜、金曜に出発。関空発は翌日で、4月1日が初便となる。機材はボーイング787-8型機(3クラス214席:ビジネス35席、プレミアムエコノミー25席、エコノミー154席)を投入する。

 関西行きBA19便は、ロンドンを午後2時20分に出発し、翌日午前9時50分着。ロンドン行きBA20便は、午前11時30分に関空を出発し、午後3時50分に到着する。同路線は、共同事業(JV)を展開するJALとコードシェア(共同運航)を行う。

 ロンドン-関西線は、JALが2009年3月28日まで1日1往復運航。翌29日から運休した。BAも1998年10月まで運航しており、BAとしては20年ぶりの再就航となる。

ロンドン最優先で交渉

「ロンドン路線は最優先で交渉」と語るKAPのジャメ専務=18年9月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 2016年3月31日まで関空を運営していた新関西国際空港会社(NKIAC)は、ロサンゼルスとロンドンの頭文字から、「LL」を長距離国際線誘致のキーワードとしていた。このうちロサンゼルスは、JALが2015年3月20日に再就航。2009年10月まで運航していたエバー航空(EVA/BR)以来、約8年半ぶりに再開した。

 関空は、2016年4月1日に民営化。オリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)のKAPが運営を引き継いだ。KAPではこれまで、関西圏の強みをより生かせるアジア圏の路線を拡大してきた。

 ロンドン線就航は、JALのロサンゼルス再就航時に関西財界を中心に、再開の議論があった。KAPのジャメ専務は、BAとの折衝はNKIAC時代から続いていたものとし、「ロンドン路線は最優先に位置付け、交渉した。欧州にも強いヴァンシのネットワークも活用した」と述べた。

 KAPの山谷佳之社長はAviation Wireのインタビューで、ロンドン線復活について「ビジネスクラスが埋まるかがカギになる」と指摘(関連記事 [2])。この見込みについてジャメ専務は「BAの機材は、日本市場をよく考えられたもの。35席は良い座席数だ」と語った。

BA支社長「成功間違いない」

関西就航を「ワクワクしている」と語るBAのバージャー支社長=18年9月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 関空は台風21号の影響により、9月4日から閉鎖。21日には、旅客部分が全面的に再開した。しかし、早期に暫定再開案を打ち出せなかったKAP経営陣に対し、官邸サイドが早々と見切りをつけ、事実上国主導で復旧が進んだ。

 KAP経営陣の危機管理能力を、日本政府が問題視していることについて、BAのモラン・バージャー日本・韓国・タイ支社長は「大変なことが起きた。台風の被害が甚大なのは承知しているが、現在は100%まで回復している」と述べるにとどめた。就航については「ワクワクしている。BAとJAL、KAPにとって、重要な路線となる」とし、「成功は間違いない」と新路線に太鼓判を押した。

 JALは今回、BA運航便に「JL」便名を付与し、コードシェアで運航する。自社便での復便について、JAL執行役員の中野星子・西日本地区支配人は「(1日2往復の)羽田-ロンドン線が混雑していることから、それなりの需要があると信じている」と述べ、まずはコードシェアに注力する姿勢を示した。

運航スケジュール
BA19/JL7078 ロンドン(14:20)→関西(翌日09:50)運航日:日月水金
BA20/JL7079 関西(11:30)→ロンドン(15:50)運航日:月火木土

関連リンク
ブリティッシュ・エアウェイズ [3]
日本航空 [4]
関西国際空港 [5]

787-8で復活
ブリティッシュエア、関空20年ぶり復活 787で週4往復 [1](19年4月1日)

15年3月に復便したロサンゼルス線
JAL、関空-ロサンゼルス待望の再開 財界はロンドン復活ラブコール [6](15年3月20日)

ロンドン路線に言及するKAP経営陣
関空-ロンドン、復活のカギ握るビジネスクラス 特集・関空山谷社長インタビュー(前編) [2](18年1月15日)
関空-ロンドン実現、ジャメ専務「19年が現実的目標」 発着枠やシベリア上空通過課題も [7](17年10月24日)
関空、新路線アジア重視へ 山谷社長「欧米も力抜いてない」 [8](17年5月31日)

9月21日に全面再開した関西空港
関空、1タミ全面再開 北側初便は香港航空 [9](18年9月21日)
関空、国交省が復旧プラン 運営会社主導に“見切り” [10](18年9月8日)

BAバージャー支社長インタビュー
JALとの共同事業「かなりユニーク」 ブリティッシュ・エア、バージャー支社長インタビュー [11](17年5月4日)

当紙編集長が寄稿
関空冠水で考える…空港民営化は万能薬なのか [12](日経ビジネスオンライン連載 18年9月20日)
[雑誌]「関空の台風被害は人災」週刊エコノミスト 18年9月25日号 [13](18年9月18日)